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京産大ラグビー部

[ 2019年9月3日 05:30 ]

京産大ラグビー部を引っ張る最上級生メンバー(撮影・亀井 直樹)
Photo By スポニチ

 【鍛え上げたスクラム 日本一で名将の花道飾る】

 京産大ラグビー部の勝負の一年が始まった。同部を4度の関西大学Aリーグ優勝へと導いた大西健監督(69)が今季限りで勇退する。スクラムを徹底的に鍛える独自のスタイルで全国的には無名の選手の花を咲かせた名将。最後を飾るべく、ロック伊藤鐘平主将(4年)らフィフティーンが一丸となって悲願の日本一へ挑む。

 脈々と受け継がれる伝統は今年も健在だ。「京産の戦いはいつも通り。どこにも負けないFWです」。伊藤主将の言葉は歯切れがいい。目指すスタイルが不変だから、少々のアクシデントにも選手は動じない。6月の日大戦で伊藤が左足首を骨折。じん帯も損傷し、全治3カ月と診断された。しばしグラウンドを離れる主将に代わり、大西監督はNo・8フェインガ・ファカイ(4年)とロック田中利輝(3年)を共同主将に指名した。

 寡黙で、黙々と体を張るファカイと、昨季までAリーグでの出場機会は皆無だが抜群のリーダーシップを誇る田中。キャラクターは違うが、ファカイが「優勝するために、練習でも試合でもプレーで引っ張りたい」と言えば、田中も「秋の優勝に向けてチームを引っ張りたい」と自覚をみなぎらせている。

 2人のリーダーを中心に、練習は熱気にあふれる。スクラムやモール練習は1時間以上、費やすのが日常。「スクラムは本数をこなして体に染みつく。組んで押す、組んで押す、です」と田中は汗をぬぐいながら神髄を明かす。FW陣の苦労を知るから、CTBニコラス・ホフア(3年)は「FWが頑張って押してくれるから、いいゲインをしないといけない」と言い聞かす。FW、バックス一体の攻撃は両者のこんな信頼関係から生まれている。

 選手の思いは今季限りで勇退する大西監督にも向く。伊藤は幼少時に初めて見たラグビーの試合がOBの兄・鐘史が在学中のリーグ戦だった。「将来、京産大で待ってるよ」と言い、頭をなでてくれた指揮官の手の大きさを忘れたことはない。「優しい中に厳しさもある。先生のために日本一になりたい」と強い決意を言葉に込めた。チームは関学大との開幕戦で敗れ思わぬ船出となったが、伊藤は中断明けの11月には復帰する予定。悲願の日本一へ――。勝負の一年が今、幕を開けた。

 ≪自然体の大西監督≫1973年から指導を続ける大西監督は今季限りで勇退する。「最後だから…とは思っていない。毎年同じ気持ちでチャレンジしている」と今季も目標は日本一。ケガ人が複数人いるため、ベストメンバーがそろうのはW杯による中断後、再開する11月以降の見込み。「ロック伊藤が復帰するまで、前半戦をどう乗り切るか」と辛抱強く先を見据えている。

 ≪日本代表で活躍したコーチ陣が徹底指導≫これほど豪華な布陣は、どの大学を見渡してもないだろう。トップリーグだけではなく、日本代表でも活躍した元木由記雄ヘッドコーチ(48)と伊藤鐘史FWコーチ(38)だ。大工大高(現常翔学園)、明大、神戸製鋼とエリート街道を歩んできた元木コーチは13年に就任。「京産大には守るべき文化、人一倍のひたむきさがある」と選手の“熱さ”に感じ入り、「指導している方が伸びないと、チームも伸びない」と自身も日々、学んでいるという。OBの伊藤コーチは18年に就任。「トップリーグや日本代表の経験で教えてもダメ。学生はモチベーションも幅広いから、どうアプローチするかが大切」とコミュニケーションも重視している。2人をはじめ、バラエティー豊かなコーチ陣が強さの礎となっている。

 ≪中川将弥さん、車いすから選手をサポート≫チームが躍進した時、勝利に欠かせない1ピースとして記憶されるだろう。車いすから選手を温かい視線で見つめる中川将弥さん(4年)だ。2年前のリーグ戦で頸椎(けいつい)を損傷。一時は全身不随となったが、懸命なリハビリで回復し、今春から復学した。今はラグビー部員と同じ寮に住み込み、自身のリハビリを続けながら練習をサポート。「外から見ると分かることがあるし、年齢的にも選手と近いのでコミュニケーションを取れればと思っている」。時に助言を、時に励ましを。フッカーとして屋台骨を支えてきた元主将だからこそ、できることだ。「しんどいことをして、FWで優位に立つ。それしかないですね」。選手と同じ目線で一緒に戦う。

 ▽京都産業大学 1965年(昭40)開学。所在地は京都市北区。学生数は1万3000人を超える総合大学。活動するクラブ・サークル数は150以上。ラグビー部のほか、空手道部やバスケットボール部が全国の舞台で活躍している。

 【マドンナ図鑑 選手を陰で支える5人のマネジャー】

 京産大には屈強なラガーマンを陰で支える5人のマネジャーがいる。その一人、坪倉光子さん(てるこ、4年)は高3の時に2015年W杯の南アフリカ戦をテレビ観戦。初めて見たラグビーの試合がスポーツ史上最大の番狂わせとなり、「凄い試合を見て、はまりました」と“一目ぼれ”した。大学入学当初は、勉強との両立に不安があったため、入部を見合わせたが、思いを断ち切れず2年から入部。「こんなに大変な練習をしているんだ」と汗を流す選手に感嘆しながら、プレーヤー同様、練習の準備やバックアップに励んでいる。「大西先生のために勝ちたいという思いをみんなが持っている。より団結して胴上げできたら」。マネジャーも一丸となって、勝利を目指す。

 【魅惑の学食 肉汁たっぷり!鉄板ハンバーグ】

 雄飛館2階にある「むすびキッチン」の名物が「鉄板ハンバーグランチ」(550円)。熱々の鉄板でこんがりと焼き目の付いたハンバーグは肉汁たっぷりでボリューム満点。プラス100円でサラダセットに変更可能とあり、男女問わず大人気の定番メニューだ。また、同店舗はアクティブラーニングが可能な「ラーニングコモンズ」で、昼食時以外はIT環境が整ったグループワークやワークショップ、プレゼンが可能な学びの場として多くの学生が活用している。

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