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国際医療福祉大軟式野球部

[ 2018年3月22日 05:30 ]

2年ぶりの全国大会出場を目指す嘉数兼任監督(前列左から3人目)ら国際医療福祉大軟式野球部ナイン
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 【07年日本一の強豪、“文武両道”で2年ぶり全国大会へ】

 福岡県大川市の国際医療福祉大軟式野球部は2007年に「全日本学生軟式野球選手権大会」で全国制覇した強豪だ。“文武両道”で学業にも力を入れ、練習に全員がそろうことは少ないものの、「楽しくプレーしながら勝つ」を目標に部員29人は活動中だ。22日には春季リーグが開幕。全国大会出場を目指す戦いが始まった。

 学内にある土のグラウンド。学業との両立を目指しながら、白球を追う選手たちはみんな笑顔だ。監督も兼任する嘉数匡晃(かかず・ただあき)内野手(3年)は「両方頑張ろうという思いが強い。勉強も忙しい分、野球をやるのは楽しい。楽しく勝つのが目標で、よくベンチでも声が出て、いい雰囲気」と青春を謳歌(おうか)している。

 所属する九州学生軟式野球連盟の春季リーグは22日に開幕した。全10チームが5チームずつに分かれ、総当たり戦を行い、各上位2チームが決勝トーナメントに進む。決勝Tで決勝進出すれば全国大会の出場権を得られる。嘉数は監督の立場から「投打のバランスがいい」と2年ぶりの全国大会出場へ手応えをつかんでいる。

 高校時代に硬式球になじんだ選手は、かつて触れていても軟式球に戸惑うことが多い。軟式球はボール内部が空洞でゴム製のため、コルクの芯を毛糸や木綿糸で巻いた硬式球に比べ、弾みやすく、飛びにくい。橘涼太(2年)が「硬式の感じで振ると、ポップフライになる」と言えば、木下航宙(かずひろ・2年)も「ボールがバットに貼りつく感じで打ちづらい」と話す。慣れるにはとにかく練習あるのみだった。

 自身のケガをきっかけに医学を志し、理学療法士の資格取得を目指すメンバーが少なくない。3年秋から学校外で実習が始まる。軟式野球部で現役として活動するのは3年春のリーグ戦まで。嘉数兼任監督をはじめ、3年生7人も例外ではない。それぞれの目標によって取得すべき課目が異なり、一度に全部員がそろうことは極めて少ないが、週2回はグラウンドで汗を流す。

 選手は気合十分で春季リーグに入った。橘は武蔵台高(福岡)時代にムードメーカーの“声出し役”としてベンチ入りしたほどの元気印だ。「3年生を全国に連れて行きたい」と力強く宣言。打順は主に2番や下位ながら小技も使って活躍。将来はプロ野球のトレーナーになる夢を抱く。朝倉高(福岡)時代の15年夏県8強メンバーだった木下は4番を打つ。「チームの力になれれば。理想は率も稼げて長打も打てる打者」と力強かった。

 「勢いに乗れば、明るいチームなので強い」と木下が言うように、押せ押せになると強さを発揮する国際医療福祉大ナイン。今春は満開の花を咲かせる。

 【3年生から「臨床実習」】

 国際医療福祉大の理学療法学科では3年生から学校外の病院で「臨床実習」に取り組む。朝から晩まで医療の現場で働き、その活動内容をレポートとして提出することも必須。森下寛隆(4年)は「(さまざまな事態に対応する)知識がないといけない。(大学で)何してきたん?って感じになるので」と真剣そのもの。将来は出身地の高知県で医療の仕事を志す。「準備と危機管理が必要と思ってやっています」。ミスが許されない現場で夢をかなえるべく、奮闘している。

 【どこでも守れる原】

 原嘉志(3年)は投手も含めた全ポジションを守れる器用な選手だ。全国大会出場を目指す最後の春にも「出たら2年ぶりですか。楽しくやれたら」と自然体で臨む。九州産高(福岡)では16年ドラフトでヤクルトから3位指名された梅野雄吾投手の1学年先輩だった。同校では主に投手で梅野と話す機会も多かった。「プロに行く人の球って、本物のストレートやなと思った。見てて凄かった」と振り返った。

 ▽九州学生軟式野球春季リーグ 国際医療福祉大と同じブロックには九共大、ほかに北九大、福工大、九工大と争う。もう一つのブロックには九産大、西南大、九大、西九州大、中村学園大が所属。

 【ボランティアで地域貢献も、年2回花宗川の清掃活動実施】

 学業と野球に励むだけでなく、ボランティアで地域にも貢献している。大川市で筑後川に合流する花宗川は、大学の近くを流れており、年2回の清掃活動を実施している。

 「めちゃくちゃ汚い。ゴミの量が半端じゃなくて、臭いもする」

 困り顔で話すのは森下寛隆(4年)だ。清掃の際に履いた靴は2度と使用不能なほど汚れるという。ハードな仕事にも利点はある。メンバー全員がそろう貴重な機会となり、嘉数兼任監督は「みんなで一緒に協力して仲が深まる」と話す。

 ゴミを拾い、きれいな流れを取り戻せれば達成感がある。森下は「ボランティア活動は好き。これからも積極的にしていきたい」と話す。原嘉志(3年)も「大事にしていきたい」と地域貢献に喜びを感じている。2月には大川市主催「木の香マラソン」にスタッフとして参加。完走したランナーにだご汁、おにぎりを配った。

 ▼国際医療福祉大 大川キャンパスは大川市榎津に05年(平17)4月に開設。同キャンパスに福岡保健医療学部があり、理学療法学科、作業療法学科、言語聴覚学科、医学検査学科を専攻できる。隣接するのは506床の高木病院。キャンパス周辺に医療、リハビリテーション、在宅での看護・介護など、さまざまな医療福祉サービスを提供するグループ施設がそろい、医療福祉を学ぶ最適な環境が整っている。

 【6人の女子マネがサポート】

 チームを支える女子マネジャーは6人(3年4人、2年2人)だ。武雄高(佐賀)で野球部マネジャーを務めていた大曲未玖さん(2年)によると、主な仕事は練習用具や飲料水の準備に加え「スコアをつけたりもします」と多岐にわたる。

 高校まで野球に関わらなかった仁王佑季さん(3年)と平湯晴菜さん(3年)は「ルールは一応、分かる程度」からのスタート。それでも、仁王さんが「みんなが凄く元気。試合で勝つ姿を見るのが楽しい」。平湯さんも「野球が楽しい!という感じが選手から伝わってくる」と充実した表情でサポートしている。

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