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乾電池車両に夢乗せて… 四国職業能力開発大学校、2度目参戦で掴んだ鈴鹿「Ene-1チャレンジ」準V

[ 2021年12月7日 05:30 ]

Ene-1チャレンジに参加した(左から)橋崎光成さん、三谷涼介さん、堺春樹さん、宇佐美隆斗さん、原田陽一さん、樋本哲平さん
Photo By スポニチ

 今夏、鈴鹿サーキットで開催された「2021Ene―1チャレンジ」に参加した四国職業能力開発大学校(香川県丸亀市)がKV―1の大学・高専・専門学校部門で準優勝を飾った。2019年の初挑戦から2度目の参戦(2020年は中止)で着実にステップアップを果たした。

 ★タイムアタック、電池残量との勝負、さまざまな工夫…次世代エンジニアへの挑戦★

 Ene―1チャレンジに参加する車両の動力は、充電式単三乾電池40本。1度のフル充電で鈴鹿サーキット(1周5・807キロ)のタイムアタックを3回行い、合計タイムを競う。

 「タイムを上げるには燃費を良くすることが大切なんです」

 車両製作の指導を行う岩永禎之職業能力開発教授(59)は、スピードアップの方法を簡潔に説明する。全速力では3周は乗り切れない。いかに効率よく電池を使うかというエネルギーマネジメントが結果を左右するという。

 レースに参加したのは、電気エネルギー制御科2年の堺春樹さん、三谷涼介さん、橋崎光成さんの「チームさぬき005号」と生産機械システム技術科2年の西山珠輝さん、宇佐美隆斗さん、原田陽一さん、樋本哲平さんの「チームさぬき006号」。そのうちの005号車がKV―1(車両重量制限なし)カテゴリーの大学・高専・専門学校部門で準優勝。それでも、ドライバーを務めた堺さんは「1回目の走行で慎重に走ってしまい、最後は意外に電池が残っていて。もう少し攻めることができたかなと思っています」とレースを振り返った。

 車両製作は、ものづくりの技術者や生産技術・生産管理部門のリーダー育成を目的としている職業能力開発大学校の強みが生かされている。電気系と機械系の学生が協力して作り上げた。車両のレギュレーションは、ドライバーの安全を最大限に考慮されるためブレーキから故障時に車体から抜け出す時間まで決められており、隅々にさまざまな工夫が施されている「ハイテクカー」だ。

 今後もEne―1チャレンジへの参加は続ける方針で、技術・ノウハウは下級生へと受け継がれていく。

★重要なエネルギーマネジメント 追加充電なし、攻めすぎると動かなくなり、温存しすぎるとタイムが伸びない★

 Ene―1チャレンジのレースで使用する乾電池バッテリーは追加充電ができないように走行1回ごとに大会本部に預けなければならない。

 コースを攻め過ぎると3週目途中で動かなくなる可能性が高まり、バッテリーを温存し過ぎるとタイムが伸びない。制御装置を備えた車両性能に加えて、アクセルワークやブレーキを考えたエネルギーマネジメントが重要になるのは、このためだ。

 レースでの最高速度は80キロ程度だというものの、道路から数十センチ上の運転視界を考えると体感速度はかなりのもの。さらに、ほぼ仰向け姿勢で運転するため、S字コーナーやシケインの操作テクニックも必要だ。

★若年者ものづくり競技大会にも積極参加★

 Ene―1以外にもエンジニアを養成する大学校として「若年者ものづくり競技大会」にも積極的に参加。今年行われた第16回大会では「電子回路組立て」で関敦哉さん(電子情報技術科2年、写真左)が全国大会銅賞、「ITネットワークシステム管理」で中原晴陽さん(電子情報技術科2年、同右)が敢闘賞を獲得した。毎年新たな学生が挑戦し、「ITネットワークシステム管理」では7年連続、「電子回路組立て」では4年連続で入賞者を出している。

 【Ene―1チャレンジ】 KV―40(車両)、KV―BIKE(二輪車)があり、KV―40は車両重量制限なしのKV―1と車両重量35キロ以上のKV―2に分かれている。ドライバー体重はともに55キロ以上(装備品を含む)。また、クラスは一般、大学・高専・専門学校、高等学校、中学生の4クラス。車体サイズは各クラス共通で全高1.8メートル以下、全長3.5メートル以内、全幅1.7メートル以内、トレッド0.38メートル以上、ホイールベース1メートル以上。鈴鹿サーキット国際レーシングコース(1周5.807キロ)で今年8月1日に開催された。 

 ▽四国職業能力開発大学校(厚生労働省所管) 1981年(昭56)4月に香川職業訓練短期大学校として開校。2000年4月、四国職業能力開発大学校に改組・改称する。機械系、電気電子系、電子情報系、居住系の専門科があり、入校後に専攻科を決めることができるものづくり系の入校制度もある。

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