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九州情報大相撲部

[ 2018年12月20日 05:30 ]

西日本王者へ向け稽古に励む九州情報大相撲部
Photo By スポニチ

【来年6月、西日本王者だ 基本の徹底&筋トレで大輪咲かす】

 福岡県太宰府市の九州情報大学相撲部は十両の東龍(31=玉ノ井)を筆頭に4人の大相撲力士を輩出している強豪だ。チームの目標は来年6月の「西日本学生相撲選手権」で個人戦、団体戦優勝だ。団体戦は17年に優勝し、今年は2位。西日本王者へ稽古に精進している。

 貴景勝の優勝に沸いた九州場所。その場所中に伊勢ケ浜部屋が宿舎を構える太宰府市に、九州情報大はある。稽古場はグラウンド奥に建つプレハブ小屋にある土俵。週6日、約2時間の稽古に部員は汗を流す。「来年の西日本大会で優勝したい」という思いで全員が一致団結している。

 指揮を執るのは竹石洋介監督。元横綱・朝青龍、大関経験者の琴奨菊がOBに名を連ねる明徳義塾(高知)を経て、嘉風、妙義龍らを輩出した日体大で競技に励んだ。卒業後は日体大コーチを経て、出身の福岡へ。相撲の名門校で学んだメソッドを惜しみなく注入している。指導は「立ち合いから、しっかり踏み込んで取る」という基本を徹底的に叩き込む。自身が1メートル68と小柄で、大柄な選手との体格差に苦労した。その経験から「しっかり当たって攻め込むことで、強い相手にでも、ワンチャンスが生まれてくる」という基本の重要性を再認識。この教えは浸透し、橋本幸一主将(4年)は「いかに自分の立ち合いができるか」と出足の鋭さを心掛けている。

 筋力トレーニングも推奨している。関東、関西の強豪相手でも「ベンチプレスなら、あの選手に勝てる」など一つでも自信を植え付けさせる狙いだ。「“小さな自信”でも一発勝負では大いに発揮される」と精神面が勝敗を大きく左右することを説く。

 こうして十両の東龍を筆頭に、幕下3人(古場、一木、入江)の計4人の大相撲力士を輩出。九州場所前には4人そろって学校を訪れ、激励を受けた。選手も背中を追いかけようと奮闘中だ。チームを引っ張るのは1メートル81、165キロの橋本主将。九州場所はチームメートと観戦し、「音が凄かった」と迫力を肌で感じ取った。現在は後輩に胸を出して成長を促している。プロ入りについては「考え中です」とした。

 ムンクバット・ムンクサイハン(2年)はモンゴル出身。明徳義塾で相撲に励んだ叔父の縁で、同校出身の東龍と食事する機会がある。「いつも立ち合いのことを言われる。(上体が)高いから下から持ち上げて」とアドバイスを胸に奮闘中。今年の西日本大会団体戦で貢献できず、悔しい思いをしただけに「来年は優勝したい」と誓った。

 強豪校での経験を惜しみなく伝える指揮官の下、選手たちは日夜稽古に励む。厳しい冬の寒さにも耐え、来年はきっと大輪の花を咲かせるはずだ。

【女子も土俵の魅力にハマった】

 ≪紅一点・中尾≫紅一点の中尾奈津子(4年)は小3から叔父の影響で相撲を始めた。「小学生のときに最初に出た大会で優勝した。勝ったときが楽しい」とハマった理由を話す。

 中学、高校ではバレー部と並行して佐賀県唐津市の佐志相撲道場で競技を続けた。大学では男子と一緒に稽古する。「1年のときは(体力的に)きつかった」と苦笑い。それでも「負けるのは嫌です」と男子相手でも闘志を前面に出して汗を流してきた。

 集大成として臨んだ7月の「全国学生女子相撲選手権」では軽量級の個人戦で3位。「過去最高の成績」と喜びつつ、準決勝の敗戦が忘れられない。「勝てた相撲だった。悔しい」と振り返る。

 相撲は卒業を機に一区切り。気がかりは、女子部員がいなくなることで「さみしいです」と残念そう。興味のある女子学生は、門を叩いてみては。

 ≪マネジャー・曽根さん≫屈強な男たちを叱咤(しった)激励するのは、唯一のマネジャー・曽根千枝さん(2年)だ。大学進学まで格闘技に縁がなかった。中学では弦楽部。高校では管弦楽部でオーケストラの一員として活動した。転機は新入生合宿だった。友達をつくり、教職員と親睦を深める目的で入学前に実施されるイベント。曽根さんの班を担当した在学生の相撲部員から勧められて練習を見学した。「間近で稽古を見て、凄いとしか思えなくて。ここならマネジャーになってみようと思った」と振り返る。

 主な仕事は、土俵で実際に相撲を取る実戦練習の数(番数)をそれぞれの部員に伝えること。各自20番が1日のノルマで、曽根さんはノートに正の字で記し、5番ごとに部員に伝える。他にも活動に関わる書類作成など事務的な作業も担う。

 まだ相撲の技術や奥深さを勉強中ながら、情熱を持って取り組んでいる。「精神面ならサポートできると思う。それはしっかりやっていきたい」。大相撲の部屋なら女将さん、という立ち位置で部員の健闘を願っている。

【山中 四つに組む相撲得意「個人でも上位」】

 山中晋也(3年)は2日に両国国技館で行われた「全日本相撲選手権」に出場。予選突破の2勝には届かず、1勝どまり。それでも貴重な経験を積んだ。四つに組んでの投げ、寄りが得意で「低く速く当たることを意識している」と話す。小1から相撲を始め、希望が丘高(福岡)で3年時に総体16強などの成績を残した。来年の目標は「西日本大会で優勝したい。個人としても上位を狙いたい」と誓った。

 ▽九州情報大学 福岡県太宰府市の私立大学。1998年(平10)創立。経営情報学部のみの単科大で経営情報学科、情報ネットワーク学科に分かれる。高度情報化社会に対応するため、全学生にノートパソコンの所有を義務づけている。

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