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福岡大サッカー部

[ 2019年3月28日 05:30 ]

全国制覇を狙う福岡大サッカー部
Photo By スポニチ

 【「奪取速巧」で九州リーグ3連覇だ】

 福岡大サッカー部は09年に総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントを制覇した強豪だ。これまで66人のJリーガーを輩出し、永井謙佑(FC東京)や藤田直之(C大阪)ら日本代表選手も生まれた。強さの秘密はどこにあるのか迫った。

 エンジのユニホームが強いのは「奪取速巧」の4文字がチームに浸透しているからだ。「堅守」からカウンター一本ではなく、積極的な守備で前からどんどんボールを奪う「奪取」から巧みに攻撃するのが福岡大スタイル。イングランド・プレミアリーグのリバプールにも見られる戦法で、乾真寛監督(59)は「奪うサッカーをしないと上のカテゴリーでは通用しない。上でも通用する選手を育てたい」と理由を語る。

 持ち味が光ったのは昨年12月の全日本大学サッカー選手権で明大に1―0で勝った試合だ。プロ内定5人を擁する強敵に引いて守るのではない。「相手の100の力が60~70になる」(乾監督)という意図で激しくしつこい守備で徹底的にボールを奪いにいく。その狙いが的中し、カウンターではなく6~7人が連動する形で先制し、そのまま逃げ切った。「これが自分たちの戦い方と分かっているから成し遂げられた」とFW梅田魁人(4年)主将は胸を張った。

 これまで66人がJリーグ入り(A代表5人)。これは地方大学としては驚異的な数字だ。2019年の現役Jリーガー輩出ランキングは全国の約200あるチームで5本の指に入る。乾監督は部員をトップのA1~B2まで5つのグループに振り分け、練習の状態などを確認して毎日のように選手を入れ替え、各自に緊張感を持続させ、活性化を図る。「A1の選手はユニホームを着る重みを感じてほしい」というのが指揮官の思いだ。

 来月からは九州リーグ3連覇を目指す戦いが始まる。「王者の自覚というか、ほかを寄せつけず優勝したい」と梅田は宣言。約2時間の練習でも先頭に立ち、引き締まった雰囲気を醸成する姿があった。

 総理大臣杯、全日本大学サッカー選手権と学生同士の全国大会以外にも、天皇杯での戦いが見逃せない。昨年はJ3北九州を破り2年ぶりに本戦に出場。「やることを統一できた」と梅田。「戦う前からモチベーションが高かった」とDF饗庭(あいば)端生(4年)。24日に行われた天皇杯の福岡県予選では九国大に2―1で勝ち、好発進。今年も決勝で待つ北九州との再戦を全員が狙っている。

 ≪河原、日韓戦で持ち味発揮≫今月に韓国であった日韓定期戦の大学選抜メンバーに選ばれたMF河原は先発出場した。1メートル69、65キロと体格に恵まれなくても、90分間走りきる豊富なスタミナ、対人の守備の強さなど持ち味を発揮した。目標はJリーガーで自身の課題も理解している。「攻撃の部分とか、(状況)判断のところ。自分の特長をもっと強みにしたい」と精進を誓う。

 ≪饗庭、ユニバ代表目指す≫DF饗庭は日韓定期戦の選抜メンバーだったが、出場機会はなかった。福岡大ではレギュラーだけに「試合に出ず負けた悔しさ、もどかしさを久しぶりに感じられた。出られた方が良かったですけど自分の成長にはつながると思う」と前を向く。今後は7月にイタリア・ナポリで開催されるユニバーシアード代表20人入りを河原らと目指す。積極的な守備、ボールを奪いにいく姿勢でアピールする。

 【「人づくり日本一」へ部署制度】

 「人づくり日本一」を掲げる同部では昨年4月から「部署制度」を導入した。あくまで自主性を尊重し、義務ではない。それでも半数以上の部員が10ある部署のいずれかに籍を置く。組織の強化と同時に個々の人間力を高める狙いだ。梅田主将は「一人一人に主体性が必然的に生まれてきた」と効果を語る。

 今年から新たに「地域貢献部」を創設。サッカー部は長年にわたり自治体と協力し、小学校や少年院などを訪問する活動を続けている。「どの練習メニューが楽しかったか、良くなかったか」など訪問先から情報収集し、活動内容をより充実させるのが「地域貢献部」の役割だ。今年2月に訪問した小学校では体育の授業で一緒にサッカーを楽しみ、給食を食べて触れ合った。サッカー部の全員が1年時にJFA公認資格の「キッズリーダー」を取得する。成長戦略部部長のDF吉平駿(4年)は「これをきっかけに教師を目指す人もいる」と話した。ほかにも対戦チームの試合映像を撮影し戦力分析する「スカウティング部」、国際審判を目指す「審判部」などがある。

 ▽福岡大学 福岡市城南区七隈にある私立大学。今年で創立85周年。人文、法、経済、商、スポーツ科学など9学部からなる。サッカー部の主なOBは永井謙佑(FC東京)、坪井慶介(山口)、藤田直之(C大阪)、石津大介(福岡)、藤嶋栄介(川崎F)、清武功暉(徳島)。

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