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スポニチキャンパス

大産大体操競技部

[ 2019年11月5日 05:30 ]

笑顔で記念写真の大産大体操競技部の選手たち(撮影・後藤 大輝)
Photo By スポニチ

 【目指す栄光の架け橋 自主性重んじ全日本学生選手権団体戦出場へ】

 人それぞれの「栄光の架橋」がある。今回のキャンパスに登場するのは大産大体操競技部だ。男女ともに来夏の全日本学生選手権の団体戦出場を目指す。2009年に「体育会体操同志会」から始まり発展途上。いわゆる強豪校とは少し違うスタンス、学生の自主性を尊重する懐の深い運営方針が魅力の一つになっている。

 体操競技部が産声を上げたのは09年。その前年からスポーツ健康学科に正見こずえ顧問(37)が勤務しており、1人の競技経験者の入学もきっかけで「体育会体操同志会」が発足した。3年後の12年に競技部に昇格した。鹿屋体育大4年だった04年に全日本学生選手権で個人総合3位の実績を残した同顧問は、赴任当初「指導者でなくても、審判員などの形で体操に関わっていければ」と考えていた。全く設備がない状況から周囲の支援を受けて器具をそろえ、現在はコーチ1人を置ける体制となった。

 ただ、有望選手の獲得は難しく、個々のレベルアップで競技力向上を目指す。当面の目標は男女ともに夏の全日本学生選手権の団体戦出場だ。それを果たすには5~6月に開催される西日本(東海北信越から九州)選手権で上位に食い込まなければいけない。

 やみくもに結果だけを追い求めるつもりはない。同顧問は「学生がそれまで、できなかった技をできると凄くうれしい」と話す。それぞれのレベルで習熟度が上がることにも喜びを見いだし、競技に真剣に打ち込んでくれることを願う。練習メニューを学生たちの自主性に任せて強制はしない。「巨人の星」「アタックNo・1」など“スポ根”の漫画やアニメが流行したのは昭和。令和の時代にはそぐわない。身体能力や技術の優劣を競うのがスポーツだが、相手に勝つこと以外の喜びもある。

 女子のエースと期待される葛見彩香(くずみ・あやか、3年)も同顧問の薫陶を受け、競技の魅力を「新しい技ができるとうれしい。達成感がある」と話す。段違い平行棒の初歩的な技で、振り上げた両足の反動で棒の上に体を起こす「蹴上がり」を小5で初めて成功させた記憶は鮮明だという。周囲にはもっと難易度が高い技をこなす子もいたが、競技を始めたのが小4と遅い葛見にとって忘れられない体験だ。

 身長1メートル60で、女子選手としては大柄と言われた12年ロンドン五輪代表の田中理恵を3センチ上回る。「不利になる技もあるけど、決まればダイナミックで映える」と前向きに体格を生かした演技を心がける。得意は跳馬の屈伸ツカハラ。兵庫・淡路三原高2年で左肩関節唇を痛めた影響もあり、段違い平行棒は「嫌い」と言うほど苦手だが、インナーマッスルを鍛えるなど克服に励む。

 試合前は、ゆずの「栄光の架橋」を聞く。04年はまだ体操を始めていなかったものの、アテネ五輪で日本男子が団体総合で優勝した名場面を映像で何度も見た。最終種目の鉄棒で最終演技者の冨田洋之が着地まで完璧に決め、実況中継したアナウンサーから「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ!」の名フレーズが飛び出す。このシーンが脳裏に浮かぶような演技を目指し、鍛錬の日々を送る。

 ≪インカレで完全燃焼を≫主将の山口遼大(りょうた、3年)は大阪・太成学院大高出身。正見顧問から「きれいな体操をする。競技志向で引っ張ってくれる存在」と信頼が厚い。本人は「冬場もトレーニングでしっかり体をつくって、来年の全日本インカレ(学生選手権)に団体、個人で出たい。完全燃焼したい」と意気込む。草野球、草サッカーのような社会人でも続けられる環境が少ない競技だけに、大学生活の集大成を期す。

 ≪じん帯断裂から復帰、全日本学生選手権制す≫清水きりり(4年)は8月の全日本学生選手権、種目別の跳馬で優勝した。2年春に平均台で着地をした際に右膝前十字じん帯を断裂。1カ月入院、退院後も1カ月は松葉づえを使う生活だった。当初は「ケガしたから体操をやめられる。ラッキー」と回復してもバイトなどに明け暮れたという。だが同期の励ましで「自分の居場所はここしかない」と体操部に復帰。「キリッとした子に育つように」という願いが込められた名前どおりに大舞台で結果を残した。

 ▽大阪産業大学 1928年(昭3)、瀬島源三郎氏が前身となる大阪鉄道学校を設立。65年(昭40)に現在の名称へ。6学部で学生数は約8000人。所在地は大阪府大東市中垣内3の1の1。瀬島源三郎氏が提唱した建学の精神は「偉大なる平凡人たれ」。

 【魅惑の学食 ボリューム満点、鉄板ハンバーグ】12号館1階の「ラ・フォーレ」。開放的なテラス席も合わせ325席ある店内はWi―Fiが完備され、パソコンやスマホのバッテリーの充電が可能な電源がある席もあり学生憩いのスペース。ここでの一番のオススメが「鉄板ハンバーグ」(500円~)。熱々の鉄板にのせられた焼きたてのハンバーグに酸味のあるさっぱりとしたソースが食欲をそそる。ボリューム満点でかつリーズナブルな一品が学生に愛されている。

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