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関西国際大硬式野球部

[ 2018年12月4日 05:30 ]

新シーズンへ向け、室内練習場で汗を流す関西国際大の選手たち(撮影・後藤 大輝)
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 【新チーム始動!目指すは日本一のみ】

 硬式野球部創部20周年を迎えた関西国際大(阪神大学野球連盟1部)。秋季リーグで5季ぶり8度目の優勝を飾ると、8年ぶり4度目の明治神宮大会では初の4強入りを果たした。そこで実感した日本一への大きな壁を乗り越えるため、エース左腕の武次春哉(あつや)投手(2年=西脇工)、新主将の平野晴也内野手(3年=関西)を中心に、新チームが始動した。

 記念すべき20周年イヤーに、明治神宮大会で初のベスト4進出を決めた。秋のリーグ戦では5季ぶり8度目の優勝と、花を添えるにふさわしい結果を残したが、悔しさは晴れない。大学では祝賀会が開かれるなど“お祝いムード”も、目指していたのは「大学日本一」。平野新主将に満足感はない。

 「立正大にあんな負け方をしたので。久しぶりの明治神宮大会で、初のベスト4入りだったとしても、どうしても悔しさが残る」

 明大に勝利し、初めて東京六大学のチームから白星を挙げた16年春の全日本大学選手権と同様、またも4強の壁にぶち当たった。

 準決勝の立正大(東都)戦。2連投していた2年生左腕の武次を温存し、先発した4年の森国ら投手4人の継投策で挑んだ。だが、結果は1―12の6回コールド負け。鈴木英之監督は「武次が4年生なら(マウンドに)行かせていたが、将来があるので無理をさせたくなかった」と胸の内を明かした。

 先を見据えての配慮だったが、エースは「立正大戦は投げずに負けたので、連投できる体力をつけて、常に自分のベスト投球ができるくらいにならないといけない」と反省と課題を口にした。

 今オフは体力アップのため苦手な走り込みを行い下半身強化を図る。安定感が増せば、目指す「変化球をいつでも低めに集められる投球」にもつながる。カットボールにチェンジアップ、スライダーと高い精度の変化球を操る。1年春のリーグ戦で4勝を挙げ、秋には1勝。今季は春秋それぞれリーグトップの7勝を挙げ通算19勝と、巨人やレッドソックスで活躍した上原浩治(大体大)が持つ通算最多36勝更新も夢ではない。神宮大会でも2勝を挙げるなど全国でも実力を見せつけた大黒柱は、さらなる飛躍を目指す。

 同時にチーム内では来季に向け武次に続く新戦力育成が課題。「エース依存」解消が求められるが、指揮官は「経験は少ないが、楽しみな選手はたくさんいる」と新戦力の台頭に期待を込める。

 新チームがスタートして約2週間。4番・西川雄や今秋に首位打者、MVP、ベストナインの3冠に輝いた尾崎ら打線の軸が抜けた。打力の低下は必至なうえに、4年生中継ぎ陣も引退。全体的な底上げが求められる。

 1年春から正遊撃手としてチームを支える平野新主将は「今年に比べて来季はホームランや長打は確実に減るので、もっと考える野球をしないといけない」と理解している。

 自身も今季は毎日約1000本のティーバッティングで長打力を磨き、秋季リーグでは打率・316でベストナインを獲得。「言葉よりプレーで見せる方が得意なので、姿で見せていきたい」。現在リーグ通算82安打。背中で引っ張るためにも、リーグ記録の117安打更新を目標に打ちまくる構えだ。

 4強の壁を越えられなかった悔しさが来季に向けての原点。「4年生の諦めない気持ちも受け継いで、今度こそ日本一を狙いたい」と主将。頂点だけを目指す1年がスタートした。

 【選手たちを支えた女性マネジャー3人娘】

 野球部を支えてきたのが古家明日香さん、飯塚ありささん、小川由里さんの4年生女性マネジャーだ。悲願の日本一はならなかったが、声をそろえて「自分たちの代で神宮に連れて行ってくれて本当にうれしかった」と選手への感謝の思いを口にする。

 マネジャーの業務は多岐にわたる。古家さんが最も苦労したのが公式戦のアナウンスだ。「苦手で迷惑をかけないよう必死だった」と練習に励んだ。最終年の今年は春秋通じて、試合中の場内放送が最も優秀な大学に贈られる「放送賞」を受賞した。「選手が成績を残す中で、私たちも記録を残すことができてうれしかった」と飯塚さん。3人の中で最もアナウンスが上手だという小川さんも「“マネジャーは野球部の顔”と指導者の方々に教えられてきたのでうれしい」と喜んだ。

 卒業後も全員が「何らかの形で野球に携わっていきたい」と話す。選手たちとともに、汗と涙を流した4年間はかけがえのない思い出だ。

 ▽関西国際大学 1998年(平10)に開学。今年創立20周年を迎えた。兵庫県の三木市と尼崎市の2キャンパスに3学部がある。また、来年4月には5学部に拡大。プロ野球で活躍する松永、益田(いずれもロッテ)ら多方面で卒業生が活躍を続ける。

 【魅惑の学食 栄養士監修の日替わりメニュー】

 硬式野球部は多数の寮生を抱えているが、体調面を支えるのが寮の食堂だ。栄養士が監修した日替わりメニューをベースに毎日朝と夕の2食を提供している。白米とみそ汁は何杯でもおかわり自由。食べ盛りの選手たちにはうれしい限りだ。季節のイベントの際には特別デザートを準備するなど選手への気遣いも忘れない。毎食栄養満点の食事を提供する料理主任の多鹿浩司さん(57)は「もう食べられないくらいに満腹になってもらうことが目標」と笑顔で話した。

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