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太成学院大女子ソフトボール部 さらなる高みへ 全国ベスト4以上狙う

[ 2022年5月10日 05:30 ]

 飛躍の年だ。太成学院大(大阪府堺市)の女子ソフトボール部が第53回春季関西学生ソフトボールリーグでチーム最高の2位の成績を残した。8月中旬に予定されている全日本大学女子選手権(インカレ)の出場権も獲得。昨年はベスト8に進出したインカレでベスト4以上を目標に全国の舞台でも輝いてみせる。 

 着実にステップアップしてきた。今春のリーグ戦2位は部の歴史で最高成績。昨年は春秋ともに4勝3敗で順位は5位、4位だった。春は今まで一度も勝ったことがなかった園田女子大を2―1で破った。優勝した園田女子大に唯一の黒星をつけたのが太成学院大だった。

 「今年の目標は、選手にはキャリアハイを目指していこうと話しました」

 長谷川勉監督(71)は、一歩一歩足元を固めながらチーム力を強化してきた。今年は、3月に開催された熊野市長杯で6戦全勝の初優勝を飾ったことも部員たちの自信につながったという。

 藤原福乃主将(4年=京都明徳)は「インカレでは日本一を狙ってやっていきたい」と意気込む。京都生まれだが、東京で小学校時代を過ごした。当時夢中になっていたのは野球とバレーボール。しかし、中学で京都に戻ってきた際の部活動希望は吹奏楽部だったという。「当時のドラマ(NHK朝ドラ)で『てっぱん』というのがあったんです。その中で吹奏楽部のトランペットが格好良くて」と憧れたが、吹奏楽部のトランペット体験会が目前で打ち切られ、吹くことはかなわなかった。次回の体験会に参加しようとしたが、身体能力測定で足が速かったのを見ていたソフトボール部の監督が毎朝門の前に立って入部を勧めたことがソフトボールとの出合いだった。今ではどっぷりハマり、卒業後は日本リーグのチーム入りを目指すほどだ。

 三塁を守る明神南美(4年=高知丸の内)は、ショートが本職だが、「セーフティーバントへの対応力がある」(長谷川監督)ことからコンバートされた。ソフトボールの三塁手は打者と三塁ベースの中間地点が定位置となるため強烈なゴロが飛んでくることもある。それでも、明神は「瞬間的な判断力というか、そのバッターとの駆け引きだったり、そこが凄く面白いポジション」と適性の高さを見せている。

 昨年11月に開催されたインカレは準々決勝で東海学園大に敗れた。今年はキャリアハイを目指し、ベスト4、さらにその先の大学No・1を視野に入れた戦いに挑む。

 【エース小泉、監督直伝の駆け引きで圧倒】2011年の始動とともにチームを指導してきたのが長谷川勉監督だ。名前を聞いてピンときた方はかなりの野球通かもしれない。長谷川監督は、1974年のドラフト1位で南海に入団。75年オフに江夏豊らとの2対4交換トレードで江本孟紀、島野育夫、池内豊とともに阪神に移籍した。

 30歳でプロ野球を引退した後、スポーツ用品メーカーに就職。そこで夙川学院との取引からソフトボールに関わり、転勤で福岡に駐在した際に北九州や愛媛の関係者たちと親交を深めたという。

 11年当初、部員17人でスタートするはずだったが、入学前に2人がやめた。それでも、福岡時代の人脈で集めた選手は、センターラインがしっかりしていたためチームとしてのポテンシャルは高かった。メンバーは1年生だけだったが、春の2部リーグで2位になり1部昇格を決めた。

 「(リーグの)レベルがどれほどかも知らなかったけれど、現在と比べれば2部は何とかなったんですよね」

 投手出身だったことから、ピッチャーに対しては技術的なことはもちろん、打者との駆け引きなど心理面でのアドバイスも的確。エースの小泉夢乃(4年=済美)は「試合の序盤、中盤、終盤で打者心理がどう変化してどうすれば打ち取れるかという話を聞いて、なるほどと思いました」と高度なテクニックを伝授してくれる監督の知識量に感謝している。

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