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スポニチキャンパス

佛教大スポーツチャンバラサークル

[ 2019年7月2日 05:30 ]

それぞれの種目の剣を手にポーズを決める佛教大スポーツチャンバラサークルのメンバー(撮影・後藤 大輝)
Photo By スポニチ

 【スポチャンの魅力とは?】

 可能性の発信者になれ!数多い佛教大のサークルで、異彩を放つのが「スポーツチャンバラサークル」だ。関西の大学では2番目の歴史を誇り、昨年10月の全国大会団体戦で男女ともに3位に食い込んだ。かつては遊びにカテゴリーされたチャンバラとスポーツが融合した「スポチャン」の正体とは――。未知の魅力に取りつかれた学生たちを紹介する。

 「チャンバラ」という単語には、郷愁を誘う響きがある。棒切れを持って空き地で遊ぶ子供を連想する人がいれば、往年の阪東妻三郎や片岡千恵蔵が活躍した映画を思い起こす人もいるかもしれない。娯楽の象徴だったチャンバラとルールにのっとられたスポーツが合体した「スポーツチャンバラ」とは――。その魅力を問われ、佛教大スポーツチャンバラサークルの黒田健太主将(3年)は、一つのキーワードで表現した。

 「自由、ですよね。剣道と違って打つ形も決まっていないし、相手のどこを打ってもいい。自分で考え、工夫しながら、どういう打ち方がいいか考えてやっています」

 エアー剣と呼ばれる中が空洞の得物を持ち、1分以内に眼前の敵を倒す。剣術の実戦がベースにあるため、体のどこを叩いても1本。これほど単純で明確なルールはない。だからこそ、創意工夫の余地があり、無限の可能性が潜む。

 黒田は小学校から高校まで野球部に所属していた。「大学では、野球以外の時間も楽しもうと思った」。入学後、オープンキャンパスの体験会で初めてトライし、興味本位だけで門を叩いた。「ゼロの状態から始めたので、上達していくのを感じられるのが楽しい」。未知の魅力に引き込まれた黒田と違い、小学校から高校まで剣道に打ち込んだ川崎愛実女子主将(2年)は当初、ギャップに苦しんだ。

 「剣道経験者はどうしても相手との間合いが近くなるので、1年生の時はそれで1本を取られることが多かった。スポチャンは自分が好きなように戦えるので、剣道とは違った面白さがある」

 中学、高校とサッカー部でならした坂根悠斗(4年)は、団体競技にない面白さに転向の意味を見いだした。「1対1で戦うのって男心をくすぐるじゃないですか。サッカーでも1対1の局面はあるけど、それがずっと続く感じ。奥が深い」

 他競技の経験者もとりこにするスポーツチャンバラ。日本における発祥は1971年までさかのぼる。「誰でも手軽に始められるようにするため、こういう名称になったと聞いています」。歴史について明かすのは、同サークルの篭田彰宏監督だ。38歳で競技を始め、04年に世界王者まで上りつめた。佛教大OBで、サークルが立ち上がった13年に声が掛かり監督就任。スポチャンの第一人者として、後進を育成する一方、普及にも情熱を注いでいる。

 「この競技は体力があるとか、運動能力が高いとかは強さに関係がない。日々の練習で、いかに自分に合ったスタイルを見つけるか。自由な発想が求められる点が、今の若い人に受けている理由じゃないでしょうか」

 創造力を育むだけが競技の特性ではない。篭田監督は身を乗り出し、熱く語り始めた。

 「スポチャンはもともと護身のために考えられたもの。今、あちこちで物騒な事件が起きていますよね。たとえば相手に襲われた時、どう対応すればいいか。常に剣と対峙(たいじ)していれば、体で覚えられるわけです」

 同監督によれば、競技人口は増え続け、国体の公開競技に採用される動きもあるという。業界をリードする佛教大の目標は、男女ともに大学日本一奪回。剣士たちは静かに腕を磨いている。

 ▽スポーツチャンバラ 1971年に日本で発祥。6~9メートル四方の正方形コートで、競技者は面をつけ(種目によっては盾も使用)、エアー剣で打ち合う。基本は1分1本勝負で、審判が認めれば、身体の部位に関係なく一本と認定される。エアー剣には小太刀、長剣、杖、槍などの種類があり、剣の持ち方も片手、両手、二刀流など、種目は細分化されている。大学のサークルによる大会では個人戦、団体戦の2部門で優勝を争う。佛教大のほか、立命大、大産大など関西に強豪校が多い。

 ▽佛教大学 1912年(明45)に開学、1949年(昭24)から現在の名称に。京都市内に2キャンパスを有し、約6300人の学生が在籍する。今年6月に硬式野球部が全日本大学野球選手権で京滋リーグでは初の快挙となる準優勝を成し遂げた。

 【魅惑の学食 バラエティー豊富「日替わり定食」】

 二条キャンパス内にある「カフェレストラン あむりた」の看板メニューが「日替わり定食」(400円)。曜日ごとに献立が設定されており、月ごとにメニューを一新。バラエティーに富んだ内容が人気で注文の約3分の1を占める。店名の「あむりた」は、インド神話の不老不死を与える飲料が由来。唱えたり聞いたりするだけで幸せが満ちるといわれており、昼食時は全200席が満席になることも。営業時間は9時~17時で定休日は日曜、祝日。

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