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福教大アメリカンフットボール部LIONS

[ 2018年11月22日 05:30 ]

1部残留を誓う福教大LIONSの選手たち
Photo By スポニチ

 【1部残留絶対!厳しい環境乗り越えてきた経験糧に】

 1部を死守する!九州学生アメリカンフットボールリーグ1部の福教大LIONS(ライオンズ)は、23日午前11時から福岡市の平和台陸上競技場で入れ替え戦を行う。対戦相手は、2部の佐賀大TOMCATS(トムキャッツ)で一発勝負だ。15年から4年連続保ってきた1部に残留すべく、選手たちは決戦に臨む。

 ワインレッドのユニホームに身を包む選手たちは、真っ赤に闘志を燃やしている。泣いても笑っても現チームでのラストゲーム。DE(ディフェンシブエンド)の西嶋大輝主将(4年)は「集大成の試合。圧倒して勝ちたい」と力を込める。

 チームは1984年(昭59)に創部。現在はスタッフを含め総勢51人で活動する。学校内の練習場は土のグラウンドで、ラグビー部とラクロス部との共用だ。そのため、試合会場と同じようなスペースを確保しての練習は難しい。それでもDT(ディフェンシブタックル)の嶋居大展(ひろのぶ、3年)は「雨でも夜でも試合をする可能性がある。それを考えて練習している」とポジティブだ。照明施設が乏しいなど、環境には恵まれていないが、選手はめげずに活動している。

 教育大学ということもあり、卒業生の7〜8割が教員への道を進む。そのため3年時の9月には、約3週間の教育実習がある。リーグ開幕と同時期の平日にチームを離れることになる。週末の試合には参加できるが、ぶっつけ本番だ。「試合形式の練習ができなくなる」と嶋居。RB(ランニングバック)で副主将を務めている廣見祥平(4年)も「体力的に落ちる。実習が忙しいので、アメフットが楽しいからいい息抜きにはなった」と当時を振り返った。さらに部員数が少ないのも悩みのタネ。攻撃、守備両方で出場することもあり、準備をおろそかにしていない。

 厳しい環境をはねのけて、昨年は6チームで争う1部リーグで創部以来最高の2位と健闘した。今季は「九州制覇」を掲げたが、開幕から波に乗れなかった。1勝止まりに終わり、2年ぶりに入れ替え戦へ回ることになった。

 ただ、選手は手応えをつかんでいる。リーグ最終戦の先月28日の西南大戦は21―23で敗れたが、粘り強いディフェンスを武器に5連覇を決めた強豪と互角に渡り合った。西嶋主将は「負けたけど、やってきたことは間違いではなかった」とうなずく。廣見は「西南が一番倒さなければいけない相手とみんなで話してきた。気持ちも出ていた」と話した。アメフット部だけがグラウンドを利用できる日には実戦形式の練習を繰り返して、本番に備えてきた。

 佐賀大とは近年対戦経験がなく、ビデオを見て研究中だ。決戦は金曜日!嶋居は「チーム一丸のアメフットをしたい」と勝利だけを誓った。

 《監督は創部メンバー、「ライオンズ」は西鉄から》北九州市内で警備会社を経営しながら指揮する小俣宏斗監督(56)は創部メンバーの一人だ。「LIONS」は西鉄ライオンズ(現西武)の埼玉移転を機に「頼まれてはいないけど、ライオンズの名を残そう」ということで名付けられたという。卒業後は88〜98年、03年から現在まで指導にあたっている。部員数が10人台の頃から見守ってきただけにチームへの思い入れは強い。入れ替え戦に向けて「油断しないように。ミスをしないことが大事」と話した。

 《QB益田がキーマン》佐賀大との入れ替え戦で鍵を握るのはQB(クオーターバック)の益田健士郎(4年)だ。正確なパスとランのスピードを併せ持つ。「チームを勢いづけるプレーをしたい。最後なので勝ちたい」と闘志を燃やす。日頃のトレーニングでパスの精度を上げ、ランニングメニューで鍛えてきたという。西嶋主将も「いかにあいつを気持ちよく走らせるか」と勝利のポイントに挙げていた。

 ▼九州学生アメリカンフットボールリーグ 1部は西南大、九大、福岡大、福教大、久留米大、九工大の6チームによる総当たり戦。優勝チームは「全日本大学アメリカンフットボール選手権」に九州地区代表として出場する。また、下位2チームは2部の上位2チームとの一発勝負の入れ替え戦を行う。

 【分析も担当、縁の下の力持ち17人】

 チームを支えるのは17人のスタッフ陣(マネジャー13人、トレーナー4人)だ。新納(にいろ)実里さん(4年)はマネジャーリーダーとして、チーム運営上で大事な事務作業が主な仕事。「みんなの仲の良さ、居心地の良さがある。毎日が楽しい」と充実した表情を浮かべる。

 マネジャーの仕事は多岐にわたり、練習中は水を用意したり、ビデオを撮ることも仕事だ。リーグ戦の試合中には会場外で入場チケットを売るなど忙しく動き回る。

 今年からマネジャー5人がアナライジングスタッフ(分析担当)を担うようになった。これまでは4年生やコーチが担当してきたが、選手の負担を軽減するために取り組み始めた。分析担当部門の副部長、大坪愛さん(2年)は他のチームのビデオも見て、試合中にはベンチでプレーの記録をつけるなど努力を重ねてきた。ただ、今季は公式戦でチームの結果が出なかっただけに「役に立てたことは少ない」と反省している。目標は観客席上部からトランシーバーでアドバイスするスポッター役。「そこは目指したい。西南大にも対応できるようにサポートできたら」と目を輝かせた。

 王者・西南大に挑むのは1部残留があってこそ。新納さんは「勝つことはもちろん、みんなができることを最大限にやってほしい」と入れ替え戦に挑む選手たちにエールを送った。

 ▽福岡教育大 福岡県宗像市赤間文教町にある1949年(昭24)創立の国立大学。九州地区では唯一の教員養成大学。学部は2016年(平28)度から教育学部のみで初等教育教員、中等教育教員、特別支援教育教員の3つの養成課程に分かれる。ちなみに「3年B組金八先生」シリーズで、武田鉄矢が演じる坂本金八は同校卒業という設定。

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