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スポニチキャンパス

九大水泳部

[ 2018年10月25日 05:30 ]

虎の穴が完成し、さらなる飛躍を誓う九大水泳部の選手たち
Photo By スポニチ

 【“トビウオ”の推進力磨く「虎の穴」完成】

 九州大学の水泳部は就任7年目の和方陽介監督(47)の下、週6回、総勢40人で練習に励む。9月の「インカレ水泳」には個人種目で3人、リレー種目に3レース出場するなど、着実に力をつけている。7月には屋内温水プールも完成し、より練習に没頭できる環境が整い、さらなる飛躍を目指している。

 待望の“虎の穴”が完成し、選手のやる気は自然と上がっている。7月に伊都キャンパス内の総合体育館1階に屋内温水プールがオープン。25メートルプールが6コースあり、勉学との両立に励む部員たちが、いつでも練習できる環境が整った。インカレに2年連続で出場している齋藤匠(3年)は「周りからも期待されているのは怖いところだけど、これに見合った結果を残すだけ」と意気込む。

 これまでは学校近くのプールを借り、練習してきたが、水深が浅くスタートの飛び込み練習には適していない面があった。今回の温水プールの水深は1・45メートルとなり、実戦を意識して取り組める。羽根付きのスタート台も全コースに置かれた。和方監督は「いろんな方のご厚意があってできたプール。感謝の気持ちを持って使いたい」と思いを語る。部員は水泳経験に乏しいほぼ初心者から全国大会レベルの経験者まで幅広い。入部すると、和方監督は「泳ぎをつくらないと」とフォームを意識させた練習を取り入れ、基礎づくりを徹底させる。また、積極的にコミュニケーションを取り、選手の成長をサポートしている。「考えさせて導いてくれる監督です」と齋藤は感謝を口にする。

 環境が整い、あとは結果を出すだけだ。インカレ水泳が終わり、部を運営し、引っ張るのは2年生にバトンタッチされた。新主将の神代(くましろ)直輝は新スローガンを「style」に決めた。「環境も変わった。これからも強くなるため、僕たちの代で土台を築きたい。九大のスタイルをみんなでつくりたい」という思いを込めたという。目標は旧帝国大学による体育大会、全国七大学総合体育大会(七大戦)での男子総合優勝だ。来年は福岡で開催されるだけに部員は燃えている。大会は競技ごとに成績に応じた点数を得て、総合得点で争われる。今年は男子が3位、女子は6位だった。齋藤は「何としてでも優勝したい」と力を込めた。真新しいプールで鍛錬を続けて、目標に向かって突き進む。

 【“本職&裏方”でチーム支える牛島きょうだい】

 牛島きょうだいの悲願がかなった。今年9月の「インカレ水泳」に姉の楓(2年)が200メートル個人メドレー、弟の陸(1年)が4×200メートルフリーリレーに出場。ともに医学部で保健学科検査技術科学を専攻し、「水泳の話はよくする」(陸)という仲のいい2人が全国大会で“初共演”を果たした。「20年ぐらい2人で全国に出るのが、ずっと夢だった。気持ちよく辞められます。(弟には)私の分まで背負って頑張ってほしい」

 こう話す姉の楓はインカレ後に授業の関係もあり、マネジャーに転身した。神代を支える副主将として練習メニューを考えている。経験の浅い部員に対してはアドバイスを送ることもあるそうだ。

 姉弟はともに3歳から競技を始めた。弟の陸は姉について「昔から凄い人だった」と大会で活躍する背中を追い続けてきた。9月のインカレはリレーでの出場だったが、専門は1500メートルの自由形。「持久力が大事。ペースを考えながら泳いでいる」と新シーズンは個人戦での全国出場を狙う。

 《神代、目指せ北島康介!》主将の神代は福岡・明善高出身。高3時にインターハイ出場を逃し、「これじゃ終われない」と完全燃焼を誓って九大水泳部の門を叩いた。専門は100メートルと200メートルの平泳ぎ。目標の選手は同種目で04年アテネ、08年北京ともに2冠に輝いた北島康介さん。動画サイトを見て「格好いい」と憧れているフォームを参考にするなど、泳ぎ方を研究している。

 《齋藤“ライバル”に挑戦》齋藤は群馬県出身で競技歴は16年。「受験のときに初めて九州に来ました。工学部に入りたかった」と振り返る。専門は100メートル、200メートルの平泳ぎで、来年の七大戦の個人戦で倒したい相手がいるという。今年の100メートル平泳ぎを制した坂本瑞樹(大阪大3年)だ。齋藤は4位に終わったが、自己ベストの1分5秒26を記録。「最後に勝ちたいです」と腕まくりした。

 《“バタ愛”貫く宮崎元主将》元主将の宮崎郁弥(ふみや・4年)は1メートル78、73キロの大型スイマーだ。専門は今年のインカレ水泳にも出場した100メートルバタフライ。中学1年の終わりごろに始め、以降“バタ愛”を貫く。もともと足首が軟らかく大学に入って「上半身をうまく使えるようになった」と成績が伸びた。社会人になっても水泳は続ける予定で「辞める理由がないと思う。生涯スポーツです」と話した。

 《成長に目細める監督》和方監督は「3、4年前はインカレに出場する選手もいなかった」と選手たちの成長を喜ぶ。水泳は20年の指導歴があり、練習や大会のタイムを確認して的確なアドバイスを送る。「意識しているのは自主性を伸ばすこと。ちょっと教えたら伸びる」と選手の吸収力の高さに目を細めていた。

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