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西日本工大バドミントン部

[ 2020年1月23日 05:30 ]

さらなる飛躍を誓う西日本工大バドミントン部
Photo By スポニチ

【シングルス+情熱+VR=西日本工大バド部】

 福岡県苅田町と北九州市にキャンパスがある西日本工大のバドミントン部は、2016年に同好会から部に昇格してから着実な成長を見せている。九州リーグの4部からスタートし、19年には1部に昇格。昨年は全日本インカレ団体戦の出場権を初めて獲得した(大会は台風の影響で開催中止)。躍進の裏には樺山裕之前主将(4年)の努力と工業大学ならではの取り組みがあった。

 たった一人の情熱がバドミントン部を動かした。今春、卒業する樺山だ。強豪・鹿児島商高時代に個人で県3位となり、高校総体に団体戦のメンバーで出場したこともある実力者だ。

 西日本工大に入学した16年。バトミントン部は同好会から部に昇格したが、練習になかなか人が集まらなかった。樺山が初めて練習に行くと、井上翼監督と2人きりだった。この時、樺山の心に火がついた。九州リーグの1部昇格、全日本インカレ出場、希望する企業への就職を求めて入学――。夢をかなえるために「人としゃべったりコミュニケーションを取るのは嫌いじゃなかった」と先輩たちに練習への“勧誘LINE”を送り続けた。時には「自分と勝負しましょう。勝ったらいっしょにインカレ目指しませんか?」と口説いた。すると少しずつ練習に参加する部員が増えていった。

 九州リーグは4部からのスタート。最初は結果が出なかった。それなのに、自分だけが悔しがっている。「まずは意識の向け方から変えないといけないと思った」。練習メニューの作成から任せてほしいと、先輩たちに直訴した。「(先輩たちが)卒業してからでもいい結果、いい報告できるようにしたい」と約束した。そこからの成長は目覚ましく、17年は3部に昇格し、18年に2部、19年に1部昇格を果たした。

 しかし、樺山は1部初戦のコートに立てなかった。19年2月に右アキレス腱を断裂。それでも6月の九州学生選手権には患部をかばいながら出場し、団体3位に貢献して初の全日本インカレ出場権獲得につなげた。「怖さより、勝ちたい気持ちが強かった。負ける気はしなかった」。強い心が結果を生んだ。希望していた企業にも就職が決まり、目標3つを全てかなえて卒業する。その樺山の思いをつなぐチームが目指すは「1部優勝と工業大初のインカレ優勝」(井上監督)。樺山は「挑戦者として戦って」と後輩たちへエールを送った。

【井上監督「研究成果を学生にフィードバック」】

 井上監督は電気情報工学系の准教授。九工大の大学院時代にダブルスで全国大会で優勝した経験がある。昨年8月の全日本教職員選手権ダブルスベスト8。14年に就任し、部に昇格した16年からは同僚に勧められてバドミントンの研究をスタートさせた。18年には日本バドミントン学会の立ち上げにも参加し、現在は理事を務める。

 井上監督は「研究成果を学生にフィードバックしたい」と考えている。現在、研究中なのは「視野」と「バーチャル・リアリティー(VR)」だ。「視野」はバドミントンのノックマシンを使って練習する際に人はどこを見ているのかを探っている。さらにVRを用いて「自分の活躍したモチベーションビデオを見るとパフォーマンスが上がるなら、VRの方がより効果が上がるのでは」という仮説を検証中。小村飛雄主将(2年)は「スマホとかで見るより(VRの方が)脳内にインプットされる感じがした。集中できた」と効果を感じていた。

 モットーは「やる前からやらない理由を探すのは嫌い。本気の失敗には価値がある」――。研究のかたわら公認コーチの資格も取得するなど、選手のために動き続ける。

 ≪PR&献身 松崎、中木マネジャー≫松崎あかりマネジャー(4年)はデザイン学部に在籍。「大学らしさをアピールしたいと思った」とバドミントン部をPRするポスターを制作するなど、学部の特色を生かして貢献している。中木華マネジャー(2年)は飲み物づくりやシャトル集め、大会でスコアをつけるなど献身的に活躍中。「どうすれば選手がスムーズに動けるかを、意識してます」と話した。

 ≪小村飛雄主将は個人の星?≫2年生の小村飛雄主将は「樺山さんが高い目標を持っていて自分も刺激された」と振り返る。1部リーグに昇格し「全国大会がつかめるところまで来たので、みんなの意識が変わってきた」と雰囲気の良さを感じ取っている。飛雄(ひゆう)という名前の由来は漫画・巨人の星の主人公・星飛雄馬。字画を考慮して「飛雄」になったという。

≪1年生・坂村一樹、壇隆介が次期エース候補≫自由ケ丘高出身の坂村一樹、壇隆介(ともに1年)はダブルスでコンビを組む。昨年4月の「福岡県学生選手権」で優勝し、ともにシングルスでも結果を出している次期エース候補だ。坂村は「早い展開からのスマッシュが得意」とし、壇は「相手のミスを突いていきたい」と話した。

 ≪外部コーチは運動具店の吉本さん≫北九州市内で運動具店を営む吉本貴さんが外部コーチを務めている。シャトルなど用具をバドミントン部に販売していたことが縁で、1年前から指導にあたっている。学生時代は強豪として知られる九州国際大付、九国大で活躍。「そこで培った感覚を伝えられたら」と話した。

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