大阪工業大アイスホッケー部

氷上でポーズを取る大工大アイスホッケー部のメンバー（撮影・井垣　忠夫）
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　【54年ぶり悲願へ一丸　伝統の“足”でインカレつかむ】

　創部67年目を迎えた大阪工業大アイスホッケー部が54年ぶりの日本学生氷上競技選手権大会（インカレ）出場へ向けて飛躍の時を迎えている。昨年度の関西学生リーグ2部を7戦全勝で制し、入れ替え戦も3戦負けなしで突破して1部B昇格を決めた。今年度から新たに高校京都代表経験もあるDF長谷川稜真（1年）ら即戦力も加入。FW中原将仁主将（4年）を中心としたかつてない充実の布陣で勝負のシーズンに挑む。

　礼に始まって礼に終わる。この言葉から堅苦しさを取り除いた元気なあいさつと明るい笑い声が練習拠点の浪速スポーツセンター・アイススケート場のそこここで響いている。

　1953年（昭28）の創部以来、「伝統」「感謝」「あいさつ」「連絡」「掃除」を活動理念として大切に守り続けてきた大阪工業大（以下、大工大）アイスホッケー部は気持ちの良い若者の集団でもある。

　その大工大を束ねるのが中原主将。京都・城南菱創高時代はバスケット部に所属。大学入学時に新入部員勧誘用のビデオを見てアイスホッケーのとりこになってしまう。

　「一目ぼれでした。部活をやるつもりはなかったんですけど、とにかく格好良くて」

　それまでスキー、ローラースケートの経験はあったが、氷上のスポーツは初めて。思うに任せない難しさが逆に中原の挑戦意欲に火をつけ、入部後、しばらくたってもアイスホッケーへの情熱は冷めるどころか過熱する一方。その年の5月から8カ月間で120回以上もスケートリンクに通い、自主練習に汗を流した。部員のほぼ8割が初心者という大工大にあって“努力の人”中原の存在がそのまま部員一人一人の目指すべき手本となった。

　「未経験者は技術を4年間かけて完成させます。経験者に技術では勝てません。でも中学時代からスポーツを続けてきたメンタルでは負けません。逆に自分にはそこしかないですから。目標はインカレ出場です」

　例年、コーチ陣が中心の幹部会で決定されてきた主将を今年度は部員の総意で決めた。このチーム一丸の空気感が今季の大工大の最大の強みでもある。

　そこにアクセントを加えるのが経験者組。3年前からアイスホッケー部にもスポーツ推薦が導入され、少人数だが即戦力が加わった。小・中と大阪選抜、大阪・常翔学園高時代も大阪代表だった2年生FW後藤駿太もその一人。昨季は新人ながらリーグ戦で31得点を記録し、2部の得点王に輝いた。小学校4年の時、大工大の試合を観戦してアイスホッケーを始めた。「持ち味の足の速さ、スピードを生かしてインカレ出場を目指します」と中原主将と同じ目標を口にする。

　9月に開幕する関西学生リーグで1部Bの上位2校に入り、1部Aの下位2校を含めた4校による総当たり戦で上位2校に残れば、1部A昇格と54年ぶりとなる悲願のインカレ出場が決まる。

　「ウチはほとんどの学生が防具の着け方から始めます。技術的に劣るところは足で、運動量で戦うのが伝統です」と大工大OBでもある酒井俊輔ヘッドコーチ（31）。氷上練習のほか、週3回の筋力トレーニングも新たに導入。伝統の“足”で栄冠を勝ち取る。

　▽大阪工業大学　1949年（昭24）に開設。大宮、梅田、枚方の3キャンパスに工学部、ロボティクス&デザイン工学部、情報科学部、知的財産学部の4学部16学科を設置。学生数は約7000人。硬式野球部が今春、近畿学生野球で66年ぶりのリーグ優勝を飾り、初の大学選手権へ。

　≪密着防御発揮だ≫新戦力のDF長谷川は京都府宇治市出身。自宅近くにスケートリンクがあったことから3歳の時には父に連れられ、氷上を滑っていた。物心ついた時にはアイスホッケー中心の生活をしていたという。「プレッシャーは感じますけど、自分ができることをしっかりやるだけです」1メートル65、60キロとDFとしては小柄だが、自慢のスピードを生かして相手の懐に入る密着防御を得意とする。小学校6年の時に京滋選抜となって以降、中学時代は大阪、高校時代は京都とそれぞれの代表を経験。大工大のインカレ出場に欠かせない即戦力だ。

　【マドンナ図鑑　知的財産学部4年・春山あゆみさん】

　キラキラした瞳で話す春山あゆみさん（知的財産学部4年）は弁理士を目指し学業に励む。弁理士は主に企業などが持つ知的財産の「特許権」や「商標権」などを取得する際の実務のスペシャリスト。

　サンリオのキャラクター・マイメロディが幼少の頃から好きだったという春山さんは子供ながらにぬいぐるみのタグに書かれた「（C）」の文字に興味を示し、中学で「下町ロケット」（作・池井戸潤）を取り上げた読書感想文では主人公ではなく弁理士について書いたほどの筋金入りだ。将来は「キャラクターの著作権を扱うような仕事」に就きたい思いを持つ。自らの夢に向かって一直線に突き進んでいる。

　【魅惑の学食　女性にも人気のパスタセット】

　大宮キャンパス8号館にある「レストラン白馬」。新年度を迎えた今春リニューアルオープンし明るく開放感のある店内にはランチタイムになると学生や職員であふれる。「女子学生の来店が格段に増えました」と話す奥村将之副店長。女性にも好まれるおしゃれなメニューも数多く週替わりのパスタセット（430円）も好評だ。オープンは平日の午前11時～午後2時（LO午後1時30分）。一般利用も可能。