【コラム】戸塚啓

10月8日シリア戦 問われる指揮官のマネジメント力

[ 2015年10月8日 05:30 ]

険しい表情で芝を指すハリルホジッチ監督
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 10月8日のシリア戦へ向けて、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「絶対に勝たなければいけない」と話していた。

 互いに3試合を終えたW杯ロシア大会2次予選で、シリアは3連勝の勝点9でグループ首位を走る。2勝1分けで勝点7の日本が敗れると、勝点差は「5」に広がってしまう。日本との直接対決以外で両チームが取りこぼさなければ、ホームでシリアを下しても2位に甘んじてしまう。

 振り返れば前回の3次予選も、ウズベキスタンの後塵を拝した。グループ2位で4次予選(最終予選)に進出している。

 前回との大きな違いは、グル―プ2位では無条件に次ラウンドへ進出できないことだ。2位の8か国のうち上位4か国が、最終予選に出場する権利を得る。

 日本はひとまず上位4か国に含まれているが、7位のオマーンまでが勝点で並んでいる。他グループの動向を睨まなければいけない2位での突破は、やはり避けたいところだ。

 もっとも、シリア戦の勝利が絶対条件になったのは、6月のシンガポール戦でスコアレスドローに終わったからだ。原因を作ったのは自分たちであり、誰でもない自分たちでこの難局を乗り越えなければならない。

 チーム全員が開催地マスカット(オマーン)に揃ったのは、10月6日だった。実質的に2回のトレーニングで、シリア戦に挑むこととなる。これまでのように、テストマッチを経たうえでの公式戦でもない。ぶっつけ本番と言っていい。

 選手のコンディションも気になる。所属クラブでゴールから遠ざかっている選手がいて、十分な出場機会を得られていない選手がいる。フィジカルコンディションに不安のある選手と、メンタルコンディションに影を落とす選手が少なくない。9月の2試合より難しい状況で、一か月前よりタフな相手と戦うことになる。

 テストマッチなしの公式戦という意味では、参考になるゲームがある。

 たとえば、2008年9月6日に行なわれたアウェーのバーレーン戦だ。8月20日に札幌でウルグアイとテストマッチを組んだが、海外クラブ所属の中村俊輔と松井大輔は招集できなかった。田中マルクス闘莉王も、ケガで出場できなかった。

 それでも、バーレーンとの最終予選は勝利した。前半16分に中村俊が直接FKを叩き込み、ホームチームにプレッシャーを与えた。最終的には3-2のクロスゲームとなったものの、失点は後半40分以降に喫したものだった。ゲームの主導権は譲らなかった。

 2012年11月のオマーン戦は、ほぼ1カ月ぶりにチームがマスカットで集合した。ゲームの背景としては、今回とほぼ同じである。

 この試合も先制点が大きな意味を持った。20分に清武弘嗣がネットを揺らしたことで、落ち着いてゲームを運ぶことができた。一度は追いつかれたものの、後半終了間際に岡崎慎司が決勝弾をゲットした。途中出場の酒井高徳が、価値あるアシストを記録した。

 2008年9月のバーレーン戦は、岡田武史監督の就任から15試合目だった。12年11月のオマーン戦は、ザックの就任から29試合目である。シリア戦がようやく10試合目のハリルホジッチ監督とは、チームの練度が大きく異なる。

 それだけに、指揮官のマネジメント力が問われる。サッカーに魔法がないのであれば、経験と知識を総動員して、勝利へ導くための準備を進めなければならない。(戸塚啓=スポーツライター)

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