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【コラム】戸塚啓

コンフェデ杯後のAマッチが重要

[ 2012年12月15日 06:00 ]

 ロードマップ、見取り図、工程表といった言葉が、あちらこちらで溢れている。16日投開票の総選挙にまつわる報道だ。各政党のマニフェストがどこまで現実的なのかはともかくとして、サッカーも目標から逆算した強化プランを立案しなければならない。

 日本代表であれば、W杯までの残り1年半をどのように過ごすのかは重要である。すでに決まっているFIFAの国際Aマッチデーに、どんな相手を当てはめていくのかがマッチメークの見せどころだ。

 過去2大会との違いは、アジアカップ予選を戦わずに済むことである。予選から参加することになれば、13年の国際Aマッチデーの3分の1にあたる5試合を、決して有益ではない戦いに費やすところだった。
ラトビアとの対戦が発表された来年2月6日も、アジアカップ予選の第1節である。2011年1月にカタールでつかんだアジアチャンピオンの称号は、ここにきて大きな価値を持っている。

 そのアジアカップ優勝によって、6月15日開幕のコンフェデレーションズカップに出場できるのは大きい。ブラジル、イタリア、メキシコと戦うグループステージは、ワールドカップ本番なら間違いなく“死の組”と表現される。タフなグループだが、コンフェデ杯なら大歓迎だ。

 それなりの成績を残せば、強化に勢いがつく。3連敗に終わったとしても、「さらにやらなければ」というモチベーションにつながる。どのような結果でも、マイナスになることはない。

 W杯の開催国を体感できるのも大きい。

 岡田武史監督が率いたチームは、09年11月に南アフリカへ遠征した。「大会前に一度は現地へ行っておこう」という現場の意向を、反映したものだった。

 ブラジルとブラジル国内でテストマッチを組むのは、そもそもハードルが高い。それだけに、本大会で使用するスタジアムで真剣勝負ができるのは、何重ものメリットをもたらしてくれる。決勝トーナメント進出を果たせば、最大5会場でゲームができる。

 スタジアムの雰囲気だけでなく、現地での移動やホテルでの生活なども経験しておくと、本大会でのストレスはずいぶんとやわらぐものだ。あらかじめ体験済みならば、たいていのことは「まあ、しょうがないか」と笑い流せるものだ。

 コンフェデ杯後のマッチメークは、各大陸予選の動向を睨みながらになる。9月、10月、11月はそれぞれ2試合ずつAマッチが組まれており、選手を長く拘束できるオフィシャルマッチとなっている。ここで強豪と顔を合わせられるか否かが、本大会に大きな影響を及ぼすのは間違いない。

 09年9月5日に対戦したオランダは、4日後にスコットランドとのワールドカップ予選を控えていた。今年10月のフランスも、直後にスペインとのワールドカップ予選を戦っている。

 公式戦に備えたスパーリングパートナーを名乗り出れば、今後も強豪国との対戦は組めるはずだ。たとえば南米で2試合を戦うのも、日程的には十分に可能である。サッカー協会がどんなスケジュールを立てるのかで、ブラジルへの本気度が見えてくる。(戸塚啓=スポーツライター)

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