退団公演「ワイワイがやがや終わりたい」星組・紅ゆずる(上)

[ 2019年7月27日 05:30 ]

「ワイワイがやがや終わりたかった」とサヨナラ公演への思いを語る紅ゆずる
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 兵庫・宝塚大劇場で上演中の星組トップスター紅ゆずるのサヨナラ公演「GOD OF STARS―食聖―/エクレール ブリアン」(8月19日まで。東京公演は9月6日~10月13日)。退団公演らしからぬ明るさが話題だ。

 “オレ様”な天才料理人がさまざまな体験を通して人の心を知っていく、アジアを舞台にしたクッキングコメディー。「ワイワイがやがや終わりたい」。彼女が演出家に懇願したのはこれ一つ。その言葉通り、しんみりしたシーンはみじんもない。ラストシーンは組子全員が勢ぞろいするにぎやかな幕切れとなった。「私もファンだったから分かるんですけど、切なく終わられるとファンは“この世の終わり”みたいな心境になるんですよ。せっかく見に来てくれているんだから“最後は楽しかったね”と言いながら(2部の)ショーまでの休憩時間を過ごしてほしい」。斬新と思えたサヨナラ公演も、紅のファンを思う気遣いからくるものだった。

 それでいて次期トップコンビ、礼真琴&舞空瞳へ組を託すセリフや場面も存分に盛り込まれ、ファンの胸に残る。紅も「礼は“これから安心していただけるように頑張ります”なんて言ってくれるけれど、全然そんなのいらない。トップは雲の上の存在でも何でもなくて“助けて”と言えば皆が意外と助けてくれるから」とメッセージを送った。舞台でも取材でも、いつも“笑い”を忘れなかった紅らしいラストステージ。ファンの心にいつまでも刻み込まれるに違いない。(土谷 美樹)

 ◇紅 ゆずる(くれない・ゆずる)8月17日、大阪市生まれ。東大谷高を経て02年初舞台。星組配属。08年、ラストチャンスで「スカーレットピンパーネル」で新人公演初主演し、その華やかさが話題になり一躍スター候補に。11年「メイちゃんの執事」でバウホール初主演。16年11月、トップスター就任。身長1メートル73。愛称「さゆみ」。

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