藤井竜王が連勝「恐怖の4倍返し」の筋が見えた 竜王戦7番勝負第3局

[ 2022年10月30日 05:06 ]

第35期竜王戦七番勝負第3局、シリーズ2勝目を挙げ、感想戦で対局を振り返る藤井聡太竜王=代表撮影
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 将棋の第35期竜王戦7番勝負第3局は29日、静岡県富士宮市の「割烹旅館たちばな」で第2日が指し継がれ、後手の藤井聡太竜王(20)=王将、王位、叡王、棋聖含む5冠=が112手で挑戦者・広瀬章人八段(35)を下した。シリーズ成績は防衛を期す藤井の2勝1敗となった。

 対局室から見えるはずの霊峰富士は雲にさえぎられ、その雄姿を拝むことができない。観賞を楽しみにしていた藤井は複雑だったかもしれないが、対照的に投了図に残したのはすっきりとした短手数での即詰みだった。

 「序盤は駒組みで形勢を損ね、苦しい時間の長い将棋。無理気味で攻めていって、それが最後際どくつながったのではと思います」
 シリーズ初の相掛かり戦となり、第1日の昼食休憩前に広瀬が4筋から仕掛ける新趣向を見せた。対する藤井は飛車を左香の真下に配置する「地下鉄飛車」を試みながらも不発。その飛車が攻撃を受け、銀との両取りを食らったピンチで、八面六臂(ろっぴ)の大駒を切る大勝負に出る。それまで押され気味だった竜王が一気に形勢を挽回し、軽快な交換を経てさばいた角を敵陣深くに打ち込み、勝利を徐々に引き寄せた。

 開幕局こそ落としたが、これで2連勝。過去初戦を落とした7番勝負は2回あるが、いずれも2局目からは破竹の4連勝をマークしている。「過去3局はいずれも初日に苦しくなる。そこが大きな課題なので少しでも修正したい」と自省の弁を残す藤井でも、対戦相手からすると「恐怖の4倍返し」の筋が見えてきた。

 第4局は11月8、9日に京都府福知山市の福知山城天守閣で行われる。

藤井は午前のおやつでアイスコーヒーとともに和菓子を味わった。会場となった静岡県富士宮市の「富士の菓子処 藤太郎」の和スイーツ。パンナコッタのようななめらかな舌触りが特徴の豆腐に黒蜜をかけて味わう「富士の湧水黒みつ豆腐」を注文した。

 富士山の湧水を用いた豆腐に同市の朝霧高原の牛乳など地元の食材を多く使用。同店は「日本一高い富士山の恵みで作ったスイーツを味わってみてください」とPRし藤井の勝利を祈っていた。

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