「鎌倉殿の13人」柿澤勇人 横田栄司の役者魂“継承”実朝&和田義盛は「ヘンリー四世」人気コンビ彷彿

[ 2022年10月30日 10:00 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第40話。源実朝(柿澤勇人)の言葉に涙ぐむ和田義盛(横田栄司・右)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は30日、第41回「義盛、お前に罪はない」。ついに鎌倉最大の激戦「和田合戦(和田義盛の乱)」(建暦3年、1213年)が描かれる。3代鎌倉殿・源実朝にとっても、俳優の横田栄司(51)演じる御家人最長老・和田義盛は心が和む癒やしの存在。実朝役を好演中の俳優・柿澤勇人(35)に撮影の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。鎌倉を舞台に、御家人たちが激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑んだ。

 柿澤は「劇団四季」出身。07年にデビューし、08年から「ライオンキング」などに立て続けに主演。さらなる活躍の場を求め、09年末に退団後、「スリル・ミー」「フランケンシュタイン」「デスノート THE MUSICAL」などの数々のミュージカルや舞台を軸に、映像作品にも出演。朝ドラ初出演となった20年前期の連続テレビ小説「エール」は、国民的歌手・藤山一郎さんをモデルにした山藤太郎役。名曲「丘を越えて」を歌い上げたことも記憶に新しい。

 大河ドラマ出演は以仁王役を演じた12年「平清盛」、森蘭丸役を演じた14年「軍師官兵衛」に続き、8年ぶり3作目。今回演じる源実朝は、源頼朝(大泉洋)と政子(小池栄子)の次男(第4子)。長男(第2子)・源頼家(金子大地)の弟にして、義時の甥にあたる。

 建仁3年(1203年)、12歳にして3代鎌倉殿に就任。第34回「理想の結婚」(9月4日)、柿澤は“成長著しく”初登場。実朝は相撲の稽古の後、義盛に鹿汁をごちそうになり、意気投合した。第35回「苦い盃」(9月11日)、後鳥羽上皇(尾上松也)の従妹・千世(加藤小夏)と結婚。再び和田館を訪れると「ここに来ると、不思議と心が落ち着く。和田義盛とは、気兼ねなく話ができる」と声が弾んだ。

 第38回「時を継ぐ者」(10月2日)、実朝が北条時政(坂東彌十郎)に監禁されると、義盛が駆けつけ、強いられた起請文は「書いちゃいなさい!起請文なんて、後で破いちまえばいいんですから」と“らしい助言”。

 「武衛(ぶえい=宮城の警備を司る兵衛府および、その官職の唐名。上総広常が源頼朝のことを親しみを込めて呼んだ)」の話になると、実朝は「武衛とは、兵衛府のこと。親しみを込めて呼ぶものではない。私も去年まで、武衛であった。今はそれより上の、羽林(うりん=近衛府)だ」。義盛は早速、実朝のことを「羽林」と呼んだ。

 そして、前回第40回「罠と罠」(10月16日)。「泉親衡の乱」(建暦3年、1213年)に乗じ、義時が和田一族を滅ぼそうと謀ったが、実朝と政子が奔走し、説得。戦は回避されたかに見えたが、父の帰りが遅いことに三男・朝比奈義秀(栄信)らが「北条にはめられた」と疑念を抱く。巴御前(秋元才加)が義盛を裏切らぬようと、三浦義村(山本耕史)八田知家(市原隼人)たちに起請文を要求。鎌倉御所にいる父を救うべく、四男・和田義直(内藤正記)が先発隊を率いて出陣した。

 柿澤は17年の舞台、蜷川幸雄氏から俳優の吉田鋼太郎が演出を引き継いだ彩の国シェイクスピア・シリーズ第33弾「アテネのタイモン」で蜷川氏演出作品の常連・横田と初共演。三谷氏作・演出の舞台「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」(19年)でも共演し、マイクロフト・ホームズ(横田)&シャーロック・ホームズ(柿澤)の兄弟役。映像作品においては今回が初共演となった。

 稽古や本番終わりにサシ飲みもする仲。「2人ともあまり覚えていないんですけど、一度、飲み屋で大ゲンカしたこともあるぐらい(笑)」という柿澤にとっては“良きお兄ちゃん”だ。

 今作の義盛と実朝は、三谷氏が「ヘンリー四世」に登場するシェイクスピア作品の中でも人気のコンビ、大酒飲みの老騎士・フォルスタッフと若きハル王子を重ねた。ハル王子は悪事を勧めるフォルスタッフと放蕩三昧だが、のちに名君・ヘンリー五世となる。

 「なるほどな、と。シェイクスピア劇は僕も何本か、それこそ栄司さんはもの凄い数に出演されているので、義盛と実朝の親友のような関係性はすぐ腑に落ちました。鎌倉殿として、どう政を取り仕切っていけばいいのか、実朝は常に悩んでいますし、パーソナルな部分(第39回、千世に『私には世継ぎをつくることができないのだ』と苦悩を告白)でも悩んでいる。そんな時、言動は荒っぽくても、誰かを陥れようなんて考えてもいない義盛のピュアなところに共鳴したんだと思います」

 「義盛を死なせたくないのです。戦を止めたいのです」(実朝)。政子が繰り出した“北条家の秘策(女装)”も成功したと思われた前回だったが、またも最後にボタンの掛け違い…。「建暦3年5月2日、鎌倉最大の激戦である和田合戦、勃発」(語り・長澤まさみ)――。

 「実朝が慕ってやまなかった義盛を失わないといけないのは、心から悲しく思います。でも、義盛は本当にあっぱれ。栄司さんの役者魂を、僕としても実朝としても受け取りました。もう何と表現したらいいのか分からないですが、とにかく壮絶なシーン。凄い回になると思います」と予告した。

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