瀧本美織 清純派から一転 サイコパスなヒロイン怪演「私、Sっ気が出てきたのかも」

[ 2022年10月30日 05:09 ]

「Sister」に出演中の瀧本美織(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 女優瀧本美織(31)のサイコパスぶりが話題になっている。主演を務める日本テレビ系「Sister」(木曜後11・59)で、表と裏の顔を持つ“ダークヒロイン”を熱演。清純派のイメージを裏切る演技で視聴者を驚かせている。NHK連続テレビ小説「てっぱん」のヒロインを務めてから12年。どんな変化があったのか。(吉澤 塁)

 「私、Sっ気が出てきたのかも。うふふ」

 屈託のない笑みを浮かべていたはずの唇から出た「Sっ気」という言葉に驚いた。

 これまで「攻撃」や「誘惑」とはあまり縁のない役柄を演じてきた。しかし今作は、妹(山本舞香)の初恋相手が、瀧本演じる沙帆の婚約者だったことから始まる裏切りと秘密にまみれたサスペンスだ。夜道で妹を襲わせたり、自作自演で自動車にひかれ記憶喪失のふりをしたりと真意が読めない役。顔つきも場面ごとにがらりと変わり、その目つきは見ている者の背筋を凍らせる。

 「私、この役が大好きなんです。“来て…”“これからもお願いね…”と、男性を誘惑するような自分が普段使わない言葉も多いのですが、それもどこか心地いいですね」

 目鼻立ちが整った美貌、鼻にかかった甘い声、コロコロと変わる表情。清純なイメージの強い女優と思っていたが、意外に“魔性の魅力”が備わっているのかもしれない。

 「(役名の)沙帆を演じているうちに、みんなが沙帆の手玉に取られる顔を見るのが楽しくなってきちゃいました。“しめしめ”と思っている自分がいます」とイタズラっぽい笑み。「撮影初日からみんなに“目が笑っていない”と言われたり、やってみたらハマり役だったのかな」と手応えをのぞかせた。

 2010年に女優としてデビューし、その年後期のNHK連続テレビ小説「てっぱん」のヒロインに抜てきされた。その後、現在に至るまで数多くのドラマや映画で主演を務めてきた。“清純派”と呼ばれることが多かった。「皆さんが私に抱くイメージも分かっていました。でもそうじゃない部分は誰しもが持っているし、自分の奥深くでは、いろいろな思いも経験も積み重なっていました」

 昨年30歳を迎え、変化があった。夫婦のすれ違いを描いたフジテレビ連続ドラマ「知ってるワイフ」で“モンスター妻”役を演じ話題に。「30歳を過ぎたあたりから、演じる役に幅が出てきたような気がします」

 仕事への向き合い方も変わった。「10代、20代はどこかがむしゃらな自分がいました。でも30歳を超えて逆に野性的になったというか、考えすぎたりせずに役と向き合うことができるようになっています。良い意味でラフに、自然体ですね」

 ただインタビュー中に突然涙を流してしまう瞬間も。「すみません…。最近は激しいシーンが続いていて。役ではあるのですが、人に対してつらいことをするのが精神的にも大変で…」。落差のある2つの顔を行き来する反動だろうか。それほどまでに役に没入しているのだろう。「でも楽しいこともいっぱいありますよ!スタイリスト役なので毎回、メークも服も変えることができてオシャレを楽しんじゃっています」。気持ちを切り替え、明るく語る笑顔に引き込まれた。

 ピュアさを残しながら新たな境地に踏み込む中で、「遊ぶ」という言葉を大切にしている。かねて親交のあるスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー(74)から贈られた言葉で、鈴木氏直筆の色紙を自宅に飾っているという。「お芝居でもプライベートでも遊び心を大事にしたい。どんな時でもワクワクしていたいんです」

 現在はドラマの撮影を楽しんでいる真っ最中。“悪女”に目覚め、新たな魅力が開眼した瀧本が現場でワクワクすればするほど、視聴者はゾクゾクすることになるだろう。

 ◇瀧本 美織(たきもと・みおり)1991年(平3)10月16日生まれ、鳥取県出身の31歳。小学生のころからアイドルユニットで活動しており、2010年に映画「彼岸島」で女優デビュー。11年にTBS「美男ですね」で民放ドラマ初主演。13年にはアニメ映画「風立ちぬ」でヒロインの声優を務める。特技はバトントワリング、短距離走。1メートル61。

続きを表示

この記事のフォト

2022年10月30日のニュース