寺島実郎氏 日銀の政策に私見「黒田日銀の罪深さがいよいよ極まってきた。経済の現場を知らないというか」

[ 2022年10月30日 15:04 ]

東京・赤坂のTBS社屋
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 評論家の寺島実郎氏が30日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・00)に出演。日銀は28日の金融政策決定会合で、2022年度の消費者物価の上昇率見通しを2・9%に上方修正した一方、現行の大規模金融緩和策の維持を決めたことに言及した。

 黒田東彦総裁は記者会見で「今すぐ金利の引き上げや(金融緩和の)出口が来るとは考えていない」と述べ、2%の物価安定目標の達成には時間がかかるとの考えを改めて示した。最近の円安進行については「急速かつ一方的。わが国経済にマイナスで望ましくない」と指摘した。日銀の超低金利政策が円安を招いているとの指摘に対しては「金融政策は為替が目的ではなく、あくまで物価目標の達成だ」と反論。「新型コロナウイルス禍からの回復途上にある経済をしっかりと支え、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的に実現するため」に大規模緩和を続けると説明した。

 寺島氏は「単独でいくら介入しても焼け石に水ですよねっていうのが1つ。それから黒田日銀なるものの罪深さというのがいよいよ極まってきたなと。経済の現場を知らないというか、出口に出ようとしても出られない、金利を上げたら一気に景気後退するんじゃないかってとこにいっちゃう。財政がですね、つまり赤字国債に対する利息負担、金利負担がバーンと重くなってくる。動けない、金縛りになってる」と指摘。そして、「その結果が、日本経済、日本財政に対する信頼、この前に英国のポンドが浴びせかけられましたけれど、売られてね。同じような構造を日本も持っているわけですよ。経済というのは信頼から成り立っているわけで、日本経済に対する信頼感がぐっと傾いてきている。その結果がこの円安150円」と持論を展開した。

 そのうえで「政治の小道具に日銀があまりにも利用され続けたために、黒田さんの言ってることもおかしくなってきている。役割意識肥大症じゃないけれども、ついに賃金の引き上げまで言い始めている。つまり日銀って何のためにある中央銀行なんですかねえ。役割意識をしっかり整理してですねえ」と言い、「日本国というのが今本当に安売りに入っちゃってるわけですよ。一時に比べたら9割円安になったんです、アベノミクスに入る前に比べて。外国の方と向き合うことが最近多いんだけど、なぜ日本にやってくるか。9割引きになってるからですよ。買い物なんかに来てんじゃないです。企業を買ったり水資源を買ったり、ものすごい勢いで現場が動いてきている。分かってるんでしょうかね、と思います」と自身の見解を述べた。

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2022年10月30日のニュース