レジェンド早咲アマが棋士編入試験資格逃す アマ名人4度、江戸時代の永世名人の棋譜並べで大成

[ 2022年9月4日 18:53 ]

朝日杯将棋オープン戦で高崎一生七段に敗れた早咲誠和アマ(日本将棋連盟提供)
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 アマ将棋界のレジェンド、早咲誠和(はやさき・まさかず)アマ(48)が4日、大阪・関西将棋会館で朝日杯将棋オープン戦に臨み、棋士編入試験の受験資格を目前で逃した。豊川孝弘七段(55)に勝ったが、高崎一生七段(35)には敗れた。高崎に勝てば直近20局のプロ公式戦の成績を13勝7敗とし、受験資格である10勝以上かつ勝率6割5分以上を満たせた。

 「一瞬チャンスはあった。でもこれが実力です」。感想戦終了後、脱力気味に語った早咲だが、「この年でもまだ頑張れると証明したい。(受験を)十分考えてやっていきたい」と再挑戦への意欲を語った。

 大分市生まれ。12歳で将棋に出合ってからは地元で将棋一筋。飲み会、結婚式への参列も断った。ネット対局もAIもない時代、大都会に比べれば研究仲間のハンデはあったが、将棋年鑑をめくっては七世名人・伊藤宗看や九世名人・大橋宗英ら江戸時代の永世名人の棋譜を並べた。

 「逆説的でしょうが、通用しているから今ここにいるんじゃないでしょうか」と苦笑い。アマ名人は92年、18歳の史上最年少で就いて以来4度制した。

 プロ相手に12勝8敗となった直近20局には19年8月、新人王戦準々決勝での勝利もある。相手は大橋貴洸六段(29)で、16年10月のデビュー以来の勝率が7割を超え、同期・藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖を含む5冠=との対戦成績が4勝2敗の藤井キラーだった。

 2006年に編入試験が制度化され、受験した今泉健司五段(49)、折田翔吾四段(32)、そして現在受験中の里見香奈女流5冠(30)はいずれも棋士養成機関である奨励会でプロを指す四段の一歩手前、三段まで昇段した。早咲アマは奨励会経験がないため、受験すれば4人目にして初となる。また過去3人と比べると、48歳での受験となれば最高齢。ミドルエイジの星の挑戦は、これからも注目を集めそうだ。

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2022年9月4日のニュース