豊島九段 「歩頭桂」に飛車捨て 駒損も藤井王位より3時間多く残す 王位戦第1局1日目は79手目封じ手

[ 2022年6月28日 20:34 ]

藤井聡太王位との第1局1日目を終え、立会人の小林健二九段(右)に封じ手を手渡す豊島将之九段(日本将棋連盟提供)
Photo By 提供写真

 藤井聡太王位(19)=王将、竜王、叡王、棋聖含めて5冠=が挑戦者に豊島将之九段(32)を迎える第63期王位戦7番勝負第1局は28日、愛知県犬山市で1日目が始まり、豊島が「歩頭桂」に飛車捨てと、大技を仕掛けた。

 45手目、囲いに入城した後手藤井王の頭上を守る歩の前に、桂を打った。「歩頭桂」と呼ばれ、桂を犠牲にする代わりに寄せのスピードアップを図る、終盤の手筋。藤井王の2マス手前まで、飛車の利きを受けた歩を前進できた一方、銀損を背負った。

 さらに61手目、飛車角交換で獲得した飛車を王手で打ち込んだ。そこも藤井桂が利く地点で、駒損覚悟で踏み込んだ。

 79手目の封じ手局面は角桂交換の駒損だが、強手を連発したことで藤井に長考を強いたため、持ち時間8時間のうち藤井が5時間4分、豊島が2時間7分消費と3時間近いアドバンテージを代償に得た。

 昨年度、王位戦、叡王戦、竜王戦で藤井に3タテを食い、無冠に転落した。対局場検分があった27日、主催者から求められた揮毫(きごう)を「進」とした藤井に対し「新」とした豊島。「新しい気持ちで指していって、昨年と違う新しい展開になればと思った」。2日目も攻勢のまま押し切るか、丁寧に応接し、飛車角を駒台に乗せた藤井が、流れを断ち切って反撃へどう踏み出すかが見所になる。

続きを表示

この記事のフォト

2022年6月28日のニュース