藤井王位 王位戦第3局は117手で勝利し2勝1敗 19歳初白星は天敵・豊島竜王からの初連勝

[ 2021年7月22日 20:11 ]

第3局で豊島将之竜王(右)に勝ち、感想戦で対局を振り返る藤井聡太王位(代表撮影)
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 藤井聡太王位(19)=棋聖と2冠=に豊島将之竜王(31)=叡王と2冠=が挑む第62期王位戦7番勝負第3局は22日、神戸市の「中の坊瑞苑」で2日目が指し継がれ、藤井が117手で勝利し、対戦成績を2勝1敗とした。今月19日に誕生日を迎えての初白星は豊島から挙げた初の連勝となった。

 112手目を指した豊島が手指を消毒し、マスクを装着した。各8時間の持ち時間が3分まで減り、敗勢はもう免れようがない。それでも残り1分まで指し、118手目を指さず「負けました」の発声と共に駒台を右手でかざし投了の意思を示した。

 「封じ手の前後は失敗したと思っていた。馬を引くのでは働きが悪くなって自信がなかった」

 戦型は角換わり腰掛け銀。豊島が封じた66手目は、中央に厚みを築く銀打ちだった。劣勢を意識した藤井は敵陣へ角を打ち込み、馬を作る。自ら「遅い攻め」と評した馬銀交換の駒損の攻めに命運を託した。

 その戦場が豊島王の頭上。飛車も攻めに加勢させたため格言「王飛接近すべからず」の悪形を藤井が突いた。価値の高い駒同士が接近して戦いが起こると、王手や詰めろと共に飛車も取られてしまうとして初心者も戒められる。「馬を切って、金を取り返す形になって攻めがつながった」と勝因を語った。

 初対戦から6連敗を喫し、この日の勝利を加えても3勝7敗と大きく負け越す豊島からシリーズをリードした。「序盤の指し方に課題が多い。その辺りを改善したい」。19歳の誕生日を前にした17日、藤井は名古屋市での棋聖戦の初防衛祝賀会で19歳の抱負を示した。今回迎え撃つ豊島は早くから将来を嘱望され、物静かなたたずまいからも「谷川浩司2世」の異名を取った。中学生棋士こそ逃したが「序盤、中盤、終盤スキがない」とのキャッチフレーズで知られる研究家で、その天敵から奪ったリードは大きな手応えになったに違いない。

 「第4局まで間が空く。その間にしっかり準備をしたい」。第4局は8月18、19日だが、その間に挑戦者で臨む叡王戦が3局ある。王者は豊島。暑くて熱い2人の夏は佳境へ入っていく。

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