愛工大名電が41年ぶり8強 球場沸かした左腕・有馬の三塁けん制「アウトにできると思った」

[ 2022年8月16日 04:04 ]

第104回全国高校野球選手権大会第10日・3回戦   愛工大名電5―2明豊 ( 2022年8月15日    甲子園 )

<愛工大名電・明豊>2回、明豊三走・嶽下(左)をけん制アウトにする愛工大名電・有馬(撮影・坂田 高浩)
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 仕掛けた愛工大名電ナインを除き、誰もが予期せぬ秘技が飛び出した。1点優勢の2回1死二、三塁。先発・有馬伽久が8番・西村元希への初球を投じる直前だった。

 「リードが大きかったので自分の判断で投げた。アウトにできると思った」

 捕手のサインをのぞき込む体勢から瞬時に体を反転させ、三塁へ鋭いけん制球を送った。球を手放してから、ようやく三走・嶽下桃之介が帰塁を始めるほどの早業。「警戒が薄れていた」と回想する嶽下の油断と隙を逃さなかった。

 「左投げ投手の三塁けん制」を目にする機会はそう多くはない。暴投や三塁手の捕球ミスが失点に直結するからだ。ただ有馬は「練習でもやってきた。過去に試合で刺したこともある」と平然。倉野光生監督も「走者が三塁にいる場面では非常に大事。走者を見てよく投げた」と称えた。

 有馬はこのワンプレーで流れに乗った。8回から岩瀬法樹への継投を打診されたが「投げ切ります」と志願。初戦・星稜戦は8回2失点ながら足をつり、2回戦・八戸学院光星戦は7回途中5失点でそれぞれ降板していたが、この日はエースの意地を見せる完投で41年ぶりの夏8強へ導いた。当時のエースも同じ左腕の工藤公康で、最終成績は4強。「偉大な先輩。尊敬はあるが、超したい」。母校の歴史を塗り替える瞬間が近づいてきた。(八木 勇磨)

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2022年8月16日のニュース