タティスの出場停止処分 失敗から学ぶべきはタティス本人だけでなく球団も、地元記者が厳しく指摘

[ 2022年8月16日 12:37 ]

パドレス・タティス(AP)
Photo By AP

 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のパドレス担当デニス・リン記者が、フェルナンド・タティス(23)の出場停止処分に関して、失敗から学ぶべきはタティス本人だけでなく、球団もだと厳しく指摘している。

 21年2月、メジャー史上最長の14年3億4千万ドルの契約で合意した時、ピーター・サイドラーオーナーは会見で「私が22歳の時、フェルナンドほど大人ではなかった。彼にはこの職業で偉大なことを成し遂げたいという情熱がある。この朝のミーティングでは、彼とAJ(プレラー編成本部長)の強い信頼関係を感じられた。サンディエゴのファンはこれから14年間に渡って、驚くべき才能を持つ偉大な人物を球場で目にすることができる」と笑顔だった。

 だが、そもそもあの時点で14年契約を与える必要があったのか?彼はFA権を取得するまでまだ4年もあったし、10代の頃から左肩に問題を抱えていた。球団の中には早すぎると危惧する声もあった。実際、その春のキャンプ中、軽い肩の脱臼が数回あり、公式戦5試合目にひどく痛めてしまう。その時は10日間で復帰したが、シーズン中さらに2度痛め、162試合中130試合の出場にとどまった。オフになり球団は肩の手術を提案したが、本人が拒否している。

 大人かどうかについても、疑問符が付いていた。昨季9月ベテランのマチャド内野手がダグアウトでタティスの態度に激高。しかりつける場面をカメラに撮られるということがあった。その時、球団関係者は、タティスはまだ子供で時々すねてしまい、それがプレーにも影響する。そしてそれはマイナー時代からだったのに、球団が特別待遇を与えていたと明かした。このオフは、労使協定を巡るロックアウトで、球団と選手が直接コミュニケーションを取ることを禁じられていた。そこに12月にバイク事故があり手首を痛めた。球団は第三者の言葉を信じ込み、医師をタティスのいるドミニカに送ることすらしなかった。本人がキャンプにレポートしてきて手術が必要と判明。3か月間も時間を無駄にしている。

 開幕後も、リハビリはカタツムリが進むほどゆっくりしたペース。そんな中、タティスが6月に室内の打撃ケージでバットを振っているのが目撃された。軽いスイングだったとはいえ、球団は知らなかったそうだ。プレラー編成本部長は出場停止処分が判明したあと、9分間地元記者に喋った。声を張り上げることはなかったが、初めて公に辛らつな言葉を発した。プレラーは選手の性質や性分を見極めるのは得意だと、前々からそこを誇りにしていたが、一番お金を投資した選手の契約が、過去に結んだ疑問符のつく契約のリストに加わった。ジェームス・シールズ投手への4年、ウイル・マイヤーズ外野手への6年、エリク・ホスマー内野手との8年。なぜ過去の長期契約が上手く行かなかったのか、そこから学んでいないとリン記者は指摘するのである。

続きを表示

2022年8月16日のニュース