近江の大黒柱・山田が満塁弾&7回1失点で8強導いた 次は高松商・浅野との対決「楽しみたい」

[ 2022年8月16日 04:06 ]

第104回全国高校野球選手権大会第10日・3回戦   近江7-1海星 ( 2022年8月15日    甲子園 )

<近江・海星>7回2死満塁、近江・山田は左中間に満塁弾を放ち指を立てる(撮影・井垣 忠夫)
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 3回戦4試合が行われた。近江はエース山田陽翔(3年)が7回2死から左中間に満塁本塁打。投げても7回1失点で史上13人目の甲子園通算10勝を記録した。通算奪三振でも平成の怪物・松坂大輔(横浜)の通算97奪三振を超える98奪三振をマーク。3季連続のベスト8進出を決め、準々決勝で激突する高松商・浅野翔吾(3年)とのプロ注目対決に闘志を燃やした。

 カクテル光線に白球が舞い上がった。甲子園が沸く。左中間スタンドへの着弾を確認した山田が右手を突き上げた。1点リードの7回2死満塁からのグランドスラム。人さし指を天に向け、No・1のポーズも飛びだした。

 「僕自身の力だけでは、あんなホームランは打てない。甲子園が力をくれた。応援が背中を押してくれた」

 6回にはスライダーで空振り三振。3打数無安打で7回を迎えていた。スライダーが2球続けてボールとなり「真っすぐ一本」に狙いを絞った。集中力を極限まで高めたところへの142キロ。エース兼4番兼主将はこの1球を逃さなかった。

 滋賀大会でも3回戦で満塁本塁打したが、大会での打率は・167と低迷。宿舎に入ってから、打撃フォームを変えた。「春より重心を低くして、右の軸足に体重を残して、突っ込まずに回転で打つ」。聖地では4番として3試合連続安打&打点で、打率・364、6打点。昨夏の神戸国際大付戦以来2本目となるアーチを呼んだ。

 投げても7回4安打1失点に封じ、史上13人目の甲子園通算10勝目に到達した。1点勝ち越した直後の6回に3連続三振でギアを上げると、7回1死一、二塁でも連続三振。この日の9個を加えて通算98奪三振とし、あの松坂大輔を超えた。「実感はないけど、偉大な方を超えることができたのはうれしい」と目尻を下げた。

 3季連続のベスト8進出。準々決勝では高松商・浅野翔吾と激突する。開会式で再会した際に対戦を熱望していたが、「レベルの高い選手との勝負で学んで、吸収して、そして楽しみたい」と闘志を燃やした。

 「優勝が唯一無二の目標」と言い続ける息子の思いを理解して両親は甲子園に向かう山田の荷物に6足の試合用ソックスを入れた。真新しいもので勝負に集中して、と思いが込められたソックスはあと3足。頂点は見えてきた。(鈴木 光)

 《決勝打の清谷も満塁弾に「エグい」》決勝打は2番・清谷大輔が放った。1―1の5回1死三塁から、中前への適時三塁打。本塁憤死でランニング本塁打にはならなかったが「いつも助けてもらっているので、今度は自分が打って助けようと思いました」と山田への感謝を込めた。満塁弾では二塁走者として生還し「率直にエグかったです」と感嘆。女房役の大橋大翔も「最強」と評した。

 《先発投手の4番満塁弾は帝京・吉岡以来33年ぶり》近江の山田が海星戦の7回に満塁本塁打。夏の甲子園での満塁本塁打は19年仙台育英戦の今井秀輔(星稜)以来53本目。4番打者では18年高知商戦の中尾勇介(山梨学院)に次ぐ11人目だが先発投手に限ると89年海星(三重)戦の吉岡雄二(帝京)以来33年ぶり4人目となった。

 ▼富山GRNサンダーバーズ吉岡雄二監督(89年夏の甲子園で帝京のエース兼4番で、近鉄、巨人などで活躍)僕以来ですか。だいぶ昔ですね。あのときは三重の海星戦。ダメ押しの一発でした。昔はエースで4番が当たり前。それが役割分担が進んで、当たり前でなくなった。そういう意味で山田くんには親近感が湧きます。また大阪桐蔭と対戦してほしい。

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