西武・滝沢 連日の躍動 同点三塁打から決勝のホーム踏む「勝手に反応 迷いなく」

[ 2022年5月15日 05:30 ]

パ・リーグ   西武5―4楽天 ( 2022年5月14日    ベルーナD )

<西・楽>7回、同点適時三塁打を放った滝沢(撮影・尾崎 有希)
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 ライオンが獲物を狙うような俊敏な動きだった。自らの一打で同点とした7回2死三塁。三塁走者の西武・滝沢は集中を高めた。外崎への2球目が本塁手前で弾む。その瞬間、本塁に向けてスタートを切った。「バウンドが見えた瞬間に勝手に(体が)反応した。迷いなく走れたと思います」。身長1メートル64の球界最小兵が、勝ち越しの生還を果たした。

 相手捕手の炭谷は後方ではなく、三塁ベンチ方向にはじいた。平均的な走力の選手であれば自重する場面で、50メートル5秒8の快足を飛ばし、あっという間に本塁に生還。左膝が破れたユニホームは、名誉の勲章でもあった。

 激走への序章は自らのバットだった。1―4から2点差とし、なお2死一、三塁で右中間に同点の2点三塁打。「自分の身長も考えて外野も前進していたので思い切り振ろうと。いい感じで捉えられた」と笑った。育成高卒新人で史上初となるデビュー戦初安打を放った前日に続き、2日連続でお立ち台に登場し「今日も緊張してます」と苦笑い。大胆なプレーとは対照的な謙虚なあいさつでファンのハートをつかんだ。

 小柄な体格で関根学園時代は野球をやめようと悩んだ時期もあった。思いとどまったのは恩師でもある安川斉総監督(62)の一言。「スピードだったり守備力だったり、その体だからこそできることがある」。目が覚めた。「この身長でもできることで、夢や希望を与えられる選手になれれば」と滝沢。長所を伸ばし、育成ながらプロ野球選手となった。前日からは正真正銘のプロ野球選手となり、故障で離脱している正遊撃手・源田の穴を完全に埋めている。

 地元の新潟から両親も駆け付けた試合で活躍した滝沢は「いつも“ナツオ”と呼ばれてますが、これからも勝利に貢献できるようなプレーを見せたいです」と誓った。どの季節でも活躍し、チームに欠かせない選手となる。(伊藤 幸男)

 《育成出身新人の初出場から2戦連続安打は3人目》育成ドラフト2位の滝沢(西)が2点適時三塁打を含む2安打し、初出場から2戦連続で安打を記録した。育成出身ルーキーのデビュー2試合連続安打は09年丈武(楽)、20年大下(オ)に次ぎ3人目で高卒では初。また、過去2人は1、2戦ともに1安打ずつとなっておりマルチ安打を含む2戦連続は滝沢が初めてだ。なお、大下は初出場から4試合、丈武は3試合安打を続けたが滝沢はどこまで続けるか。

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