1738日ぶりに…履正社の選抜準V右腕が社会人野球で乗り越えた“あの日”

[ 2022年5月7日 07:15 ]

<三菱重工West・三菱重工East>7回1失点で勝利投手となった三菱重工West・竹田祐
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 苦い思い出は記憶に刻まれたままでも、最高の思い出も加わった。2日に行われた社会人野球わかさ生活第72回JABA京都大会決勝。4年ぶりに大阪シティ信用金庫スタジアムのまっさらなマウンドに立った三菱重工Westのルーキー・竹田祐(23=明大)は、同門対決となった三菱重工East打線を7回1失点に抑え、勝利投手に。チームを優勝に導いて日本選手権への切符をつかみ、1738日ぶりの同球場での登板を飾った。

 「苦しい思い出が残っているんですけど、野手の皆さんに点を取っていただいて、気持ち良く投げることができました」
 履正社では17年選抜で準優勝。3季連続の甲子園出場を狙ったが、立ちはだかったのが同選抜の大阪頂上決戦を制した大阪桐蔭だった。同年夏の大阪大会準決勝で再び相まみえ、4―8で完投負け。「たくさん点を取られて、自分で夏を終わらせてしまった」。涙に暮れた悔しさは、今も鮮明に覚えている。本来、同大会の決勝はわかさスタジアム京都で行われる予定だったが、度重なる雨天順延により球場が変更に。天が与えた試練を乗り越えた。

 不思議な縁もある。選抜決勝で本塁打を許した坂之下晴人(23=関大)とは社会人でチームメートに。「“お前からホームラン打ったからな”っていつも言われるんですよ」と冗談っぽく話す表情には、強い信頼感がにじむ。また、寮は兵庫県高砂市にあり、4月1日付で東洋大姫路の指揮官に就任した恩師で前履正社の岡田龍生監督とは物理的な距離もまた近づいた。連絡も取っているといい「いつでも会おうって言ってもらっています」と、強力な“援軍”も味方につけるつもりだ。

 明大でリーグ戦通算11勝の実績を引っ提げ、昨秋プロ志望届を提出したが、指名漏れ。「そこまでのレベルに達していなかったから、そういう評価になった。たどり着けるように、練習するしかない。このチームで信頼される投手になりたい」と、気持ちの糸は切れるどころか頑丈になった。今大会のように、悔しさを喜びに変える積み重ねがきっと、1年半後に花開くと信じている。(記者コラム・北野 将市)

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2022年5月7日のニュース