大学史上最速169・7キロ右腕が、MLBドラフト一巡候補とは限らない理由とは

[ 2022年5月7日 08:30 ]

テネシー大のベン・ジョイス(ゲッティ=共同) 
Photo By ゲッティ=共同

 5月1日のオーバーン大戦で大学野球史上最速の105・5マイル(169・7キロ)を出したテネシー大の右腕ベン・ジョイス(21)が話題だが、6日(日本時間7日)のニューヨークポスト紙は、MLBのスカウトたちに取材し、7月に行われるMLBドラフトの目玉にはならないかもと報じている。

 195・6センチ、101キロの恵まれた体格で、2010年にアロルディス・チャプマンの出したMLB記録105・8マイル(170・2キロ)にも迫ったが、実は大学の試合では、打者のバットにしばしば芯でとらえられているそうだ。80マイル台のスライダーはあるが動きが安定しない。高卒後2年間コミュニティカレッジで投げ、テネシー大に転校したが、20年10月に右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けたため、昨季は登板なし。今季復帰し、リリーバーで21イニングで防御率0・86、38奪三振。しかしながら、バンダービルト大のような強豪相手には投げていないし、クローザーでもない。1試合2イニングが最長で、連投は1度だけ。つまりサンプルが少なすぎる。ようやく5月1日の試合ではリリーフで4イニングを投げ、1安打無四球無失点、6奪三振だった。ゆえにスカウトたちは「一巡かもしれないが、二巡か三巡かも」と予測する。

 もともとMLBでは大学のリリーフ投手に一巡指名権はもったいないという考え方がある。一巡指名のためには、将来的に先発投手になれる器だと見てもらう必要があるかもしれない。同じ大学で100マイルで騒がれたギャレット・クロシェットは、20年のドラフトでホワイトソックスから一巡指名、21年はリリーフで54試合に登板、防御率2・82だった。この春のキャンプで右肘を痛め、じん帯再建手術を受けたが、将来は先発にと期待されている。ジョイスが大学での残り試合で長いイニングを投げ、先発投手の潜在力を見せられれば、株は上がっていくのかもしれない。

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2022年5月7日のニュース