暗黙の了解…“チームの顔”大谷が報復死球の標的に 痛い1打席、本塁打王争い3位に転落

[ 2021年9月18日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス9―3ホワイトソックス ( 2021年9月16日    シカゴ )

<ホワイトソックス・エンゼルス>9回2死、右ふくらはぎに死球を受ける大谷(撮影・沢田 明徳)
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 エンゼルス・大谷の膝下へ執ように直球が集まった。6点リードの9回2死。右腕ライトの2球目は、大谷が腰を引くほどの内角へのボール。3球目は内角のワンバウンドを捕手が後逸した。そして4球目。90マイル(約145キロ)の直球が、ついに大谷の右足ふくらはぎを直撃した。

 審判団が即、マウンド近辺に集まって協議。責任審判のビル・ウエルキ塁審は、報復死球としてライトに退場を命じた。判定に納得できず抗議を続けたホ軍のトニー・ラルーサ監督にも退場宣告。試合後、ジョー・マドン監督は「我々は先日(ホ軍との第1戦)、不注意で2人に死球を当ててしまった。報復の意味があったことは分かっている」と冷静に話した。14日、自軍投手が相手の主軸であるロバートとアブレイユに対し死球。メジャーでは相手の主力打者への報復死球が暗黙の了解とされており、トラウト不在の中で「チームの顔」である大谷が標的になったかたちだ。

 5月16日以来の「3番」に入ったこの日は、初回に11打席ぶりの安打となる二塁内野安打。5回は初球、右翼ポール際へ特大ファウルを放った。その打席でも二塁内野安打し9試合ぶりの複数安打をマーク。一方で、ロイヤルズ・ペレスがこの日45号を放ち、ブルージェイズ・ゲレロと並び本塁打リーグトップに立ち、2人に1本先行された。6点差がついた9回は本塁打が狙える状況。それだけに、貴重な1打席を死球で失ってしまった。

 ただ、退場劇の裏で大谷は、一塁上で一塁手シーツの肩をもみながら談笑するなど意に介していない様子だった。残り16試合の打者出場は継続予定。まずは10日のアストロズ戦以来となる45号で、本塁打キング争いに続きたいところだ。(笹田幸嗣通信員)

 ≪根底に“相手への敬意”≫メジャーには数々の暗黙の了解「アンリトゥン・ルール」がある。おおむね6点差以上の大差がついた試合では「3ボールからスイング」「盗塁」「バント」などがそれに当たる。そのほかには「派手なガッツポーズ」「派手なバットの投げ捨て」「投手の打者に向けた雄叫び」「走者のマウンド横切り」などが相手への敬意を欠く振る舞いとされ、報復の対象になる。それ以外にも「連続本塁打後の初球を打ちにいく」「死球で謝罪する」なども不文律とされている。

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2021年9月18日のニュース