エンゼルス・大谷 今季ルースへの挑戦は終わりなのか 指揮官「10勝のため登板するのを許すことは…」

[ 2021年9月18日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス9―3ホワイトソックス ( 2021年9月16日    シカゴ )

<ホワイトソックス・エンゼルス>試合中、左手でボールを放る大谷(AP)
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 世紀の大偉業へ暗雲が立ち込めた。エンゼルスのジョー・マドン監督(67)は16日(日本時間17日)、大谷翔平投手(27)が右腕の痛みにより先発予定だった17日(同18日)のアスレチックス戦登板を回避すると明かした。指揮官は今季の登板終了についても「選択肢の一つ」と言及。あと1勝に迫っている1918年のベーブ・ルース(レッドソックス)以来となる2桁勝利&2桁本塁打達成は不透明な状況になった。

 ジョー・マドン監督は険しい表情で口を開いた。ホ軍戦の試合前。17日(同18日)の大谷の先発を「白紙」とし、「昨日(15日=同16日)、キャッチボールをして右腕に痛みが出た」と説明した。

 通常ならブルペン投球を行うことが多い登板2日前の15日。大谷は軽めのキャッチボールに終始した。今季から「モータス」と呼ばれる右腕に巻いた黒いバンドで球速のほか、腕にかかる負荷など、さまざまな数値を計測。その数値が出る機器を水原一平通訳とともにのぞき込む姿があり、痛みとともに数値上の何らかの異変があった可能性がある。

 今季は右腕のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)から本格的な投手復帰1年目。指揮官は「私の感覚では医者に行くようなものではないと思う」としたが、チームのプレーオフ進出は厳しく、無理をする状況ではない。指揮官は今季の登板終了についても「私の選択肢の一つになった」と説明。「もし何らかの痛みが微妙に残っているのであれば、投球を見て判断しないといけない。その答えはまだ分からない」と表情を曇らせた。

 マット・ワイズ投手コーチも「他の多くの選手と同じように(痛みは)蓄積によるもの。回復に少し時間はかかるかもしれない」と決して楽観視はしなかった。103年ぶりの2桁勝利&2桁本塁打は目前。それでも指揮官は「9勝よりは10勝の方がいいだろう。だからといって、それをするために登板するということは許すことはできない」と慎重な姿勢を崩さなかった。

 右腕の状態を受けてマドン監督は、打者出場について大谷と話し合いを持った。「彼は“大丈夫。出たい”ということだった」。ホ軍戦は「3番・DH」でフル出場。打者出場は、今後も問題なく続ける方針となった。

 今季は投手として21試合に先発し、チームトップの9勝2敗、防御率3・36。マドン監督は「今年は何度かこういうことがあった。今は待つしかない」としたが、次回登板のメドは立っていない。大谷自身の判断とは別のところで首脳陣、球団の決断が下される可能性も高くなってきた。(柳原 直之)

 【大谷の主な右腕故障】
 ☆18年6月6日 ロイヤルズ戦で4回1失点降板。右肘の内側側副じん帯の損傷で「グレード2」と診断された。PRP(多血小板血しょう)注射を受けて保存療法での回復を目指し、3週間ノースロー調整に。

 ☆18年9月2日 アストロズ戦で3カ月ぶり復帰登板も2回1/3を2失点降板。検査で右肘じん帯に新たな損傷が判明し、残り試合に登板しないことが決定。10月1日に全治1年以上の右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けた。

 ☆20年8月2日 アストロズ戦に登板し、1回2/3を2失点で降板。右肘付近の屈筋回内筋痛と診断された。投球再開まで4~6週間の見込みで、シーズン2試合目だったが投手としては残りの全休が決まった。

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