夏史上初の完全試合を逃した盛岡大付・渡辺に掛けられた言葉「打たれた方が…」

[ 2021年8月22日 18:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会   盛岡大付4ー0沖縄尚学 ( 2021年8月22日    甲子園 )

<盛岡大付・沖縄尚学>力投する盛岡大付・渡辺(撮影・井垣 忠夫)
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 第103回全国高校野球選手権大会の第9日は22日、甲子園球場で2回戦が行われ、盛岡大付(岩手)が沖縄尚学を4-0で下し、8強入りした2017年以来、4年ぶりの3回戦進出を決めた。先発の渡辺が1回戦の鹿島学園戦に続く2試合連続の完封。8回2死まで一人の走者も出さず、被安打わずか1と圧巻の内容だった。

 「2試合とも自分たちの試合ができた。甲子園でもう1試合できるのが本当にうれしい」

 お立ち台のエースは、目尻を下げた。右腕の生命線はコントロール。驚くような球速や、目を見張る変化球を持っていなくても、ボールを低めに丁寧に集め、全く快音を許さなかった。

 渡辺が選手権大会で過去に一度も記録されていないパーフェクトを意識し始めたのは6回。その後も自分のリズムで凡打を築いていたものの、完全試合達成まで「あと4人」と迫った8回2死から大城に中前打を許した。

 張りつめていた緊張の糸が切れ、マウンドへ集まるナイン。チームメイトが口にした言葉に、背番号1は表情を緩めた。

 「打たれた方が守備は楽だから…」

 そう、全員が目に見えない重圧と戦っていた。孤独でないことを確認した渡辺は、9回に四球を出したものの、許した走者はわずか2人。4年ぶりとなる3回戦進出の立役者になった。

 「みんなの言葉で気持ちが切り替えられた」

 東北勢で初めてとなる全国制覇へ。盛岡大付の心は一つになった。

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