新井貴浩氏 最下位転落の広島、結果伴わなくても一瞬一瞬に集中して戦う姿勢を最後まで貫いてほしい

[ 2021年8月22日 07:00 ]

セ・リーグ   広島3-8ヤクルト ( 2021年8月21日    マツダ )

<広・ヤ(14)>8回無死空振り三振に倒れた鈴木誠(撮影・成瀬 徹)
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 【新井貴浩 視点】広島は21日のヤクルト戦に3―8で敗れ、7月11日以来、41日ぶりの最下位に転落した。野球を通じて核兵器廃絶と世界平和を訴える「ピースナイター」は今年で14年目の開催。雨のため1時間13分の中断を挟み、無念の敗戦に沈んだ。2016~18年のリーグ3連覇に貢献したOBの本紙評論家・新井貴浩氏(44)は奮起を願い、激励の助言を送った。

 先発の大道には工夫の跡が見て取れた。前回14日の阪神戦が3回2失点での早期降板。制球が乱れて4四球を与えた結果を踏まえ、フォームをどう安定させるか…を自分なりに考えたのだろう。2段モーションを初めて取り入れていた。

 現状を打破するために、あるいはより高みを目指して、さまざまなことにチャレンジする姿勢は素晴らしい。何より、まだ1年目。たとえ結果が伴わなかったとしても、試みることに意義があり、失敗からも学びがある。決して無駄にはならない。

 言うまでもなく、大道の長所は投げっぷりのよさだ。思い切り腕を振り、打てるものなら打ってみろ…とばかりに、全力で立ち向かうスタイルこそが最大の武器だろう。その観点で言えば、この日の投球はいささか魅力に欠けた。投球テンポにも改善の余地がある。

 自分の長所は、武器は何か。いま一度、原点に立ち返って考えてもらいたいと思う。

 2度の降雨中断に見舞われた試合は厳しい結果に終わった。敗れたことで7月11日以来の最下位にも落ちた。

 勝負の世界。どうしても数字がついてくるし、目に入る。チームなら勝敗、順位、借金の数。投手なら勝ち星や防御率。打者なら打率、本塁打数などだ。残り53試合。選手には、しかし、数字にとらわれ、縛られて野球をやってほしくない。最後まで戦う姿勢を見せてもらいたい。

 とかく結果が伴わなかったり、数字が付いてこないと、暗く見えたり、元気がないように映りがちだ。だが、この日のマウンドや打席での立ち居振る舞いを見る限り、適当にやっている選手は一人としていなかった。

 この一試合、この一打席、この一球。いたずらに結果を憂うことなく、一瞬一瞬に集中して戦ってほしい。その姿勢を最後まで貫いてもらいたい。そう切に願っている。

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