石見智翠館・宮本 恩返しの決勝弾 左手骨折で島根大会未出場もナインの激励で発奮

[ 2021年8月22日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会 2回戦   石見智翠館4-3弘前学院聖愛 ( 2021年8月21日    甲子園 )

<8日目第1試合 石見智翠館・弘前学院聖愛>8回1死二塁、石見智翠館・宮本は左越えに2点本塁打を放ちガッツポーズ (撮影・奥 調)
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 2回戦4試合があり、石見智翠館は、ケガで島根大会の出場がなかった宮本赳希(たけき)内野手(3年)が同点の8回に決勝2ランを放ち、4強入りした2003年以来、18年ぶりの勝利を飾った。

 ただ、恩返しがしたかった。同点の8回1死二塁、石見智翠館の5番・宮本は1ボールから外角低めのツーシームに体勢を崩されながらも左手一本ですくい上げた。打球は左翼スタンドではずむ値千金の決勝2ラン。地方大会では出場がなかった男が殊勲の一打を放ち、09年に「江の川」から校名変更後、4度目の挑戦で初勝利。新たな歴史を刻んだ。

 「4番がバントしてつくってくれたチャンス。崩されても普段からしっかり振るのは意識している。タイミングは、ずれたんですけど、粘れたので打った瞬間(本塁打と)分かりました」

 6月の練習試合で死球を受け、左手尺骨を骨折。夏の島根大会には間に合わないといわれたが、末光章朗監督から「試合に出ているメンバーに、勇気を与えられる言葉をかけろ」と昨秋から付ける背番号5をそのまま託された。チームは順当に勝ち上がり大社との決勝当日。ナインから「絶対に甲子園の打席に立たせてやる」と励まされた。

 昨秋は3番を打つなど力があることは周囲も分かっている。PL学園では宮本慎也(元ヤクルト)と二遊間を組んだ指揮官も、PLを模したユニホームをまとい「打席の中での気持ちがベンチにも伝わった」と、起用に最高の結果で応えたヒーローをたたえた。

 患部の痛みはまだ残るが、試合に出られる喜びが和らげてくれる。「何とか1本打ちたかったので、とてもうれしい」。1年夏の島根大会ではクロスプレーで鎖骨を骨折し全治3カ月と診断されたことも。ケガと闘い続けた宮本に、野球の神様がほほ笑んだ。 (北野 将市)

 《山崎琢粘りの完投》島根大会決勝の大社戦で無安打無得点試合を達成した石見智翠館のエース右腕・山崎琢磨が3失点で完投した。初回に2点を失ったが、徐々に力みが抜け本来の投球を取り戻した。9回、1点差に迫られ、なお1死一、二塁のピンチでは「野手を信じて打たせてとる投球を心がけた」と葛西倖生をカットボールで投ゴロ併殺に仕留めて逃げ切った。直球は最速143キロをマーク。「尻上がりに良くなったと思う」と手応えを口にした。

 ○…石見智翠館が初戦の2回戦に勝利。島根県勢の初戦突破は12年立正大淞南以来で、県勢の初戦連敗を7で止めた。

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