やっぱり藤浪は先発だ! 中継ぎで封印のカーブ、フォークまじえ6回無失点 「バランス良く使えた」

[ 2020年11月5日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-2ヤクルト ( 2020年11月4日    甲子園 )

<神・ヤ23>6回2死一、三塁、上田を見逃し三振に仕留めて雄叫びを上げる藤浪(撮影・北條 貴史)
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 阪神の藤浪晋太郎投手(26)が4日のヤクルト戦で6回4安打無失点の好投をみせ、先発としての完全復活に向け希望の灯をともした。救援陣が一時同点とされ2017年4月27日以来の甲子園勝利こそ逃したが、本来のポジションで躍動。今季ラスト登板となる次回先発で勝ち星をつかみ、来季へ弾みを付けたい。チームは9回に大山悠輔内野手(25)が27号サヨナラ本塁打を放ち、2年連続シーズン勝ち越しを決めた。

 復活を告げる「叫び」だった。最後に訪れた踏ん張りどころ。6回2死一、三塁で藤浪は渾身(こんしん)の156キロ直球で上田を見逃し三振に仕留めると、雄たけびをあげ感情をあらわにした。

 「いい形というか、自分のペース、自分の配球で投げられた試合 だったと思うんで、久しぶりの先発でしたけど、すごく良かったと思います」

 “輝ける場所”でまばゆい光を放った。9月13日の広島戦以来となる本格的な先発復帰のマウンド。序盤から腕をしならせ、躍動した。3回2死から3者連続四球で背負った満塁のピンチでも西田をこの日最速となる157キロ直球で見逃し三振。ヤクルト・石川と演じた投手戦で一歩も引かなかった。

 「真っすぐも良かったんですけど(変化球と)両方使えることで投球の幅が広がりました。相手も迷いが出ると思うので、球種をバランス良く使えたのが一番良かった」

 直球に頼り切るのではなく、立ち上がりから、もう一つの武器であるカットボールを多投。その上で、救援時には投げなかった120キロ台のカーブ、フォークも交え「速い球を投げがちなんで、緩急を付けられたのが良かった」と幅のある投球を展開した。

 1点のリードを必死に守って6回で降板。17年4月27日以来、1287日ぶりとなる甲子園での白星を手にかけていたが、2番手の岩崎が同点に追いつかれ、お預けとなった。それでも、本人も希望する先発で見せた快投という結果が何より大きい。9月下旬から配置転換された中継ぎでは球団最速の162キロを計測するなど新たな魅力を示したが、改めて見せつけた「先発・藤浪」の底力。誰もが「答え」を実感したはずだ。

 矢野監督は「これがジャイアンツだったらとか考えたら、余計な四球を減らしていくべき。最終的には抑えればいいんだけど。そういう良いところと新たに晋太郎自身が進歩していく部分が両方見えたかなと思います」と、今季苦しみ続けた巨人に立ち向かう姿を重ね合わせながら高い期待を口にした。

 今季ラスト登板は11日のシーズン最終戦となる見込み。激動の一年を白星で締めくくり、前を向いてマウンドを降りる。 (遠藤 礼)

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