“勝てる投手”広島ドラ1・栗林 指名後初登板は7回1安打無失点 悪条件も不調も関係なしの好投

[ 2020年11月5日 05:30 ]

JABA伊勢・松阪大会   トヨタ自動車8-0東海理化 ( 2020年11月4日    ダイムスタジアム伊勢 )

力投するトヨタ自動車・栗林
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 広島からドラフト1位指名されたトヨタ自動車・栗林良吏投手(24)が実力を見せつけた。4日にJABA伊勢・松阪大会の東海理化戦で指名後初の公式戦登板を果たし先発で7回1安打無失点の快投。「勝てる投手」を改めて証明した。社会人2年間の集大成となる都市対抗(22日開幕・東京ドーム)制覇に向けても、不安要素はない。

 試合が始まった午前8時24分時点の気温は11度台。体感温度を下げる強風も容赦なく吹き付ける厳しい条件下でも、栗林は抜群の安定感を誇った。7回1安打無失点。相手に付け入る隙を与えず、大舞台に向け順調な調整ぶりを披露した。

 「調子は全然良くなかったし、体がすぐに冷えてしまうのでコントロールするのが難しかった。ただ四球もほとんどなかったし、取りたい時に三振を取ることはできた」

 初回を3者凡退で立ち上がり、2回以降は制球を重視した。この日の最速は144キロながらカーブで緩急を付け、キレ味鋭いフォークボールを決め球に7奪三振。与四球はわずか1で三塁を踏ませなかった。

 ドラフト指名後初めての公式戦登板で「全力ではないですが、ケガなく、今の自分の力を出すことはできた」と着実に任務を遂行。スタンドで見守った担当の広島・松本有史スカウトも「状態が良くなくても抑えられる。だからドラフト1位」とうなずいた。

 目標を全力で追ってきた結果が、プロ入りにつながった。2日に広島・佐々岡監督らから指名あいさつを受けるなど、日ごとにプロとしての実感や喜びは増しているが、今は使命感が勝っている。ドラフト1位まで成長させてくれた会社への恩返しが最優先だ。

 「都市対抗に優勝するためにやってきた。(決勝まで)5試合、いつ行けと言われてもいいように準備している。投げる試合は全部、絶対にゼロで抑えたい」

 生まれも育ちも愛知で高校、大学、社会人と全て県内のチームに所属。広島は「小学生の時、家族旅行で行ったくらい」と記憶をたどる。「若くて元気のあるチームだと思う。僕、入ったらいきなり投手陣で真ん中くらいの年齢じゃないですか?」。愛着ある赤いユニホームで社会人野球の頂点を極め、胸を張って新しい赤いユニホームに袖を通す。 (桜井 克也)

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