中京大中京・中山 2安打1打点に1盗塁“車に勝負挑む男”が俊足見せつけた

[ 2020年7月19日 18:17 ]

夏季愛知県高等学校野球大会   中京大中京7―0惟信(7回コールド) ( 2020年7月19日    熱田愛知時計120スタジアム )

<中京大中京・惟信> 6回1死二、三塁、中犠飛を放つ中京大中京・中山(撮影・平嶋 理子)                                                                   
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 車に勝負を挑む男が勝利の原動力だった。すでにプロ志望を明言している中京大中京・中山礼都内野手(3年)が2打数2安打1打点と活躍。盗塁も1つ記録するなど、持ち味の俊足を存分に見せつけた。

 少しのスキも逃さない。2―0の3回1死、中前に落ちる打球を放つと、一塁を回る速度を緩めることなく一気に二塁へ。「外野の守備位置が深いことは見えていたし、打った瞬間に(二塁に)行けると思った。一度も抜かずに走りました」とポテンヒットを二塁打に変えてみせた。5回1死からは左中間二塁打で出塁し、1死一、二塁から三盗に成功。5番打者の中犠飛で貴重な3点目のホームを踏んだ。

 自他ともに認める負けず嫌い。それが極限に達したのが独特な練習法だ。

 「足は誰にも負けたくなくて、道で車と競争していました」

 中学時代、俊足に磨きをかけるため、名古屋市内の自宅前を通る片側1車線の道路で、ひたすら“獲物”を待った。適度なスピードでやってくる車を見つけると、周囲の安全に注意を払いながら、歩道でスタンバイ。約20メートルの短距離勝負を挑み続けた。もちろん車に勝てるはずはないが「そのうち疲れてきますが、前半の方はギリギリ勝てそうなのもあった」と真剣な表情で振り返る。新型コロナウイルス感染拡大による自宅待機中にも取り入れた練習法。現在、50メートルは5秒9。特に「スタートが早くなったことは実感しています」と効果は絶大だった。

 スタンドには巨人、阪神、地元の中日など7球団のスカウトが視察に訪れた。進学希望ながら、プロ志望届提出の可能性も残す高橋宏斗投手(3年)もいるからこその球団数でもあるが「ラッキーだと思います。近くに凄い投手がいることで、自分も負けずにやろうと思えますし」と笑う。足だけじゃない。好走守3拍子を併せ持つ生粋の負けず嫌いが、勝ち続け、武器をアピール続ける。

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2020年7月19日のニュース