37歳熟練の技…ソフトB内川、左手一本でG19歳戸郷に植え付けた恐怖心

[ 2019年10月23日 08:00 ]

SMBC日本シリーズ2019第3戦   ソフトバンク6ー2巨人 ( 2019年10月22日    東京D )

4回1死、左前打を放つ内川(撮影・木村 揚輔)
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 【追球ズーム シリーズここにFOCUS】37歳のたった一本の安打が、19歳右腕を追い詰めた。4回1死。ソフトバンク・内川は巨人3番手・戸郷の2球目、外角低めへ沈む139キロカットボールにタイミングを外された。空振りだ。ただ、フルカウントから6球目、同じボールに左手一本でバットをぶつけると左前へ運んだ。

 「慌ててバットを出したら、当たった。追い込まれていたし、当てないといけないとの思いがありました」

 初めて見るボール。最初の空振りは両手で振って届かなかった。そこで背番号1の脳内にはこの球種との距離感が記録され、届かなかった「距離」を解消するために6球目は無意識のまま、右手がバットから離れた。

 この一打に戸郷は混乱した。「三振を取れた気持ちはあった」。ベストピッチを打たれたことが響き、決め球の一つであるカットボールへの自信を失った。その後6人の打者に対し、24球中5球投げたものの、空振りは一度も奪えなかった。

 2点を勝ち越され、なお4回2死満塁ではデスパイネに高めに浮いたスライダーを2点適時打され、試合の流れは決した。「(内川は)あのコースに投げても振ってもらえなかった。だから徐々に(ゾーンを)上げた。内川さんの一本の印象が大きかった」と戸郷。内川のたった一本のヒットが、これだけの後遺症を与えていた。

 「たまたまですよ。狙って打ったわけではない。きれいなストレートではなかったし、難しい投手だというのは感じた」。内川は照れくさそうに笑い、戸郷の才能を称えた。ただ、狙わずにできることの方が、何倍も凄みを感じさせる。

 この一本から決勝点を含む4点が生まれた。2171本を放つ希代の安打製造機の卓越した技が、亀井の2発で巨人へと傾きかけた流れを引き戻した。(福浦 健太郎)

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