なぜ?本塁へ投げず終戦 市和歌山ベンチの指示は「状況次第で…」

[ 2014年8月13日 16:45 ]

<鹿屋中央・市和歌山>延長12回サヨナラ負けに泣き崩れる山根(中央)

第96回全国高校野球選手権大会1回戦 市和歌山1―2鹿屋中央

(8月13日 甲子園)
 和歌山大会5試合で3失策と堅守の市和歌山に思わぬ“落とし穴”が待っていた。1―1の延長12回1死一、三塁。絶対絶命のピンチで、ベンチの指示は「本塁で刺すか、状況次第で二塁、一塁での併殺」。これが二塁手・山根の判断を惑わせた。

 詰まった当たりが山根の前に転がる。半田監督が「守備はピカ一」と評価する二塁手は和歌山大会で無失策、この試合でも2つの併殺を完成させ、先発の赤尾を盛り立てていた。だが、緊迫した場面で微妙に変化した打球に慌てた山根は本塁でも二塁でもなく、一塁に送球していた。

 一瞬の間をおいて大歓声に包まれたグラウンドで思わず山根はしゃがみ込んだ。そして号泣。仲間に支えられても顔を上げることができなかった。

 「バウンドが変わって捕り損ね、頭が真っ白になった。パニックになり、知らぬ間にファーストに投げてしまった」。

 セオリーなら迷わずバックホームの状況。守備に自信を持っていたことが完全に裏目に出た。勝負事に“たら”“れば”はないが、もし「状況次第で」の指示がなかったら…。半田監督は「甲子園の怖さを感じた」と唇をかみしめた。

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