NHK版「犬神家の一族」スケキヨマスク制作の裏側「マスク越しでも感情」金子大地“目の演技”ネット絶賛

「犬神家の一族」。戦地で痛ましい傷を顔に負ったため“スケキヨマスク”をかぶる犬神佐清（金子大地）（C）NHK
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　俳優の吉岡秀隆（52）が主演を務めるNHK版金田一耕助シリーズの最新第4弾「犬神家の一族」は22日、BSプレミアム・BS4Kで前編が放送された。おなじみの不気味なマスク「スケキヨマスク」も登場。BSながら、オンエア終了後（午後11時）には「#犬神家の一族」がツイッターの国内トレンド1位になるなど、反響を呼んだ。演出の吉田照幸監督（53）に撮影の舞台裏を聞いた。

　＜※以下、ネタバレ有＞

　「獄門島」（2016年）「悪魔が来りて笛を吹く」（18年）「八つ墓村」（19年）に続く4年ぶりの待望作。過去、幾度となく映像化された推理作家・横溝正史の傑作ミステリーを前後編各90分のボリュームでドラマ化した。吉岡は前々作・前作に続き、3回目の名探偵役。湖畔の屋敷を舞台に、犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛の莫大な遺産をめぐる謎の連続殺人事件に挑む。

　昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のチーフ演出を務めた吉田監督の最新作。脚本はNHK「岸辺露伴は動かない」シリーズ、アニメ「進撃の巨人」「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズなどで知られる小林靖子氏。犬神家の長女・松子役に大竹しのぶ、次女・竹子役に南果歩、三女・梅子役に堀内敬子、松子の一人息子・佐清役に金子大地、佐清を慕う野々宮珠世役に古川琴音らと豪華キャストが集結した。

　戦争から戻った佐清が黒頭巾をかぶっているため、集まった一族は本当に本人なのか疑いの目を向ける。松子が「頭巾をとっておやり」と勧めると、佐清は真っ白の不気味なマスクで顔を覆っていた。戦地で痛ましいケガを負ったためだが、なお一族から怪しむ声。松子が再び「見せておやり」と促し、佐清の顔の傷があらわになった。金田一耕助も立ち会いの下、犬神家の顧問弁護士・古館恭三（皆川猿時）は遺言状を読み上げた。

　吉田監督は「最初に佐清のマスクが出てきた時は、現場が盛り上がりました。キャストの皆さんもスタッフも『あの“犬神家”の世界を自分たちもつくれるんだ』という高揚感がありました」と振り返る。

　スケキヨマスクの色合い、素材、顔への貼り付き具合などは、歴代マスクと比較して吟味。「白といっても同じじゃありませんし、目の開き方、唇の覆い方、首の長さも全部、微妙に違うんです。今回の佐清は、単に視聴者の皆さんを怖がらせるアイコンじゃなく、マスク越しでも感情が伝わるようなキャラクターにしたいと思いました。なので、色はことさら白いというよりも肌に近いもの、目や口の動きの分かりやすさを重視しました。特殊メイクの藤原カクセイさん（※1）に何パターンか作っていただいて、素晴らしい仕上がりになったと思います」と手応えを明かした。

　金子はブレーク前、吉田監督の映画「探偵はBARにいる3」（17年公開）に端役出演。そして「鎌倉殿の13人」は偉大な父・源頼朝（大泉洋）亡き後、主人公・北条義時（小栗旬）ら“13人衆”と渡り合う2代鎌倉殿・源頼家役。大河初出演ながら、聡明さも秘めた若きプリンスの苦悩や孤独を見事に体現した。

　「前半の主役とも言えた大泉さんから鎌倉殿の座を引き継いで、しかも百戦錬磨の役者さんたちの中に放り込まれて、それはもう大変だったと思います。でも、役と一緒に逞しく成長していきましたよね。その姿が焼きついていたので、今回、佐清役をお願いしました。マスク越しでも感情がひしひしと伝わってくる演技が実に素晴らしかったです。目の奥の表現がもの凄くピュア。だから、松子役の大竹さんとの相性も抜群でした。お二人とも内面から出るものが非常にピュアなので」

　SNS上にも「金子大地くんの白マスクからのぞく目の演技、最高」「マスクをかぶっていても伝わる金子大地くん演ずる佐清の心の機微の変遷よ」などの声が続出。吉田監督も絶賛してやまない“金子佐清”。後編（29日後9・00～10・30）に期待が膨らむばかりだ。

　＜極寒なのに汗？＞一族が顔を揃えるシーンは今年冬、国指定重要文化財「旧野崎家住宅　野崎家塩業歴史館」（岡山県倉敷市）で撮影。吉田監督は「重要文化財なので暖房を入れることができない上に、日本家屋だから極寒だったんです。キャストの皆さんはずっと正座なので、きつかったと思いますけど、特に弁護士・古館役の皆川さんは遺言状を読み上げる長台詞。汗をかきながら、大変なシーンを乗り切ってくれました」と感謝した。

　（※1）映画「キングダム」シリーズ、「孤狼の血」シリーズ、「シン・仮面ライダー」など数々の作品を手掛ける。