“生の情報”で通販に勝つ

[ 2020年5月29日 07:04 ]

「釣道具まるかつ」の戸田利明店長
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【あの人をZoom up】釣り業界で活躍する人物に迫る新コーナー「あの人をズームアップ」。初回は記者が釣り好きになったキーマンの一人ともいえる釣具店の店主。インターネット通販が全盛の今、これからの釣具店の在り方についても尋ねてみた。
 (久世 明子)

 「やあ、いらっしゃい。本当に久しぶりだね。ぼくも60歳を過ぎちゃいましたよ」と、以前と変わらぬ笑顔で迎えてくれたのが「釣道具まるかつ」の戸田利明さん(62)だ。新型コロナウイルスの影響で4月中旬から休業していた店舗も、ようやく6月1日にオープンへ。「ここで開店して10年だけど、こんなに休業したのは初めて」。その表情は解禁が待ち切れない釣り人のようだった。

 初めて会ってから四半世紀は過ぎた。東京・吉祥寺にあった釣具店「丸勝」に取材協力をお願いした際、対応したのが戸田さんだった。その後、管理釣り場用のフライ道具一式や、バスロッド、リールなどを選んでもらっただけでなく、仕事と称して店に顔を出し、釣り情報を交換した。釣りから担当が変わり足が遠のいていたうちに、丸勝が2010年春に閉店。戸田さんとは連絡が取れなくなった。

 偶然通りかかった場所で「まるかつ」の看板を発見。丸勝からは西へ約2キロしか離れておらず、もしかしたら…と連絡を取ったのだ。

 「まるかつ」の屋号はもちろん「丸勝」から。戸田さん自身は小学校高学年から店の“常連”で、18歳からアルバイト、20歳から正社員になっており愛着は人一倍。「先代社長の教えは良心的な価格で販売。それだけは譲りたくなかった」と“丸勝イズム”を継承し続けている。約65平方メートルの店内にはあらゆる分野のタックルがズラリ。入り口左側にあるフライコーナーの充実ぶりは、渓流系フライマン・戸田さんならではの品ぞろえだ。

 現在はインターネット通販全盛期。欲しい品は画面上でチェックして「ポチッ」とすれば、自宅に簡単に商品が届く。釣具店に足を運ばなくても釣りに行けるが、戸田さんは「生の情報が得られるというのが大きなメリットですよ」とニッコリ。戸田さんのホームグラウンドは山梨県。秋山川や笛吹川などに釣行し当たりフライや、好ポイントなどを情報収集。来店した顧客からもたらされた渓流、海、遠征と全国の釣り場のリアル情報を、必要としている顧客に伝える…好循環が存在していた。

 また店内にはあらゆるロッドの修理、カスタマイズを受け付ける「工房正喜」を併設。こちらは丸勝の同僚だった井上政樹さん(45)が担当する。戸田さんは「わざわざ北海道から修理を依頼してくることもあるんです」と胸を張る。

 特徴を前面に出した釣具店づくりこそ、長く続く秘けつのようだった。

▼案内 釣道具まるかつ(東京都武蔵野市関前3の22の10)=(電)0422(38)9607。水曜定休日。交通は吉祥寺駅または三鷹駅からバス利用で「関前3丁目」下車すぐ。

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