【コラム】西部謙司

日本代表新監督をなぜ急ぐのか

[ 2015年2月25日 05:30 ]

元アルジェリア代表監督のハリルホジッチ氏
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 報道によれば、日本代表の新監督の有力候補はヴァヒド・ハリルホジッチ氏らしい。W杯ブラジル大会ではアルジェリアを率いて1次リーグを突破、決勝トーナメント1回戦ではドイツと延長まで戦った。コートジボワールやパリ・サンジェルマンなどの監督歴があるベテランである。

 ただ、ハリルホジッチ氏について日本人がどれだけのことを知っているだろうか。ネームバリューは高いが大した実績もない監督よりはずっといいが、技術委員会がハリルホジッチ氏について詳しく知っているかどうかは怪しい気がする。オシム氏に聞いたらしいが、もしそれだけで交渉しているのなら、フランス協会とベンゲル監督に聞いて決めたフィリップ・トルシエ監督や「ジーコには聞いたか」の会長の一声で決まったときと、あまり変わらないのではないか。

 新監督を3月の親善試合に間に合わせる必要はない。しばらくは代表選手の層を厚くする作業になるはずだからだ。アジアカップのメンバー、つまりザッケローニ監督時代の主力を固定したままW杯ロシア大会に臨むことは考えられない。仮に結果的にそうなったとしても、それまでは多くの選手をテストして選手層を厚くしなければならない。

 アジアカップ決勝に進出した韓国は第3GK以外の選手すべてを起用した。W杯でのオランダも同様。6 、7試合を戦う大会は総力戦になることも少なくない。また、23人の最終登録メンバーに絞るときにも負傷者や不調に陥る選手は必ずいる。W杯イヤーでも30人、それ以前なら40~50人の大枠が必要になる。若手には20試合ぐらいの経験を積ませておきたい。代表チームは固定の11人プラスアルファで強化を続けるものではなく、選手層を拡大しておく必要がある。

 アギーレ監督はアジアカップに必勝を期して16人しか起用しなかったが、その後は新しい選手を起用するつもりだったろう。誰が監督になってもそうなると思う。ただ、日本人選手を知らない新監督にその作業を任せるのは無駄が多くなる。むしろ技術委員会が選考をしたほうが無難だ。そうなると3月に新監督を迎えるよりも、候補も増える6月までに決めればいいのではないか。大仁会長は「拙速は避ける」と言っていたはず。慌てて決めなくてもいい。(西部謙司=スポーツライター)

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