【コラム】西部謙司

絶対王者・川崎Fへの対策

[ 2020年12月16日 16:00 ]

川崎F、(前列左から)鬼木監督、田中(25)、三笘、守田、登里、中村、大島、チョン、小林、脇坂、齊藤(後列左から)旗手、家長、下田、車屋、ジェジエウ、山根、ダミアン、丹野(撮影・篠原岳夫)
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 2020年のJ1は川崎フロンターレが早々に優勝を決めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響での過密日程、交代枠の5人への拡大、観客数制限など、異例のシーズンとなったが、川崎の強さは揺るぎなかった。

 持ち前のパスワークをハイプレスに連結させて試合を制圧、過密日程も豊富な人材を活用するローテーションで難なく乗り切った。選手層の厚い川崎にとって、過密日程と交代枠拡大はむしろプラスに作用したかもしれない。

 ここ4年間で3回目の優勝と黄金時代の川崎だが、来季も同じとは限らない。

 来季はACLに参戦する。今季は横浜F・マリノスが中2、3日で21連戦となるなど、ACL参加クラブは過酷な条件下での戦いを強いられた。横浜FMは選手をローテーションさせ、ハイプレスの強度を維持するためにシステムも変えるなど対応に努めたが、ベストの状態を維持するのは難しかった。来季は川崎がその立場に置かれるわけだ。

 対戦相手のマークも厳しくなるだろう。今季のJ1で川崎を破ったチームの勝ち方をみると、川崎対策はある程度みえてくる。

 最初に川崎に土をつけた名古屋グランパスは分厚い守備で完封した(1-0)。いわゆる「バスを置く」守り方だ。ディフェンスの強いチームに徹底して守備を固められると、川崎といえども簡単に点はとれない。ただ、この方法はいくぶん運だのみのところもある。

 北海道コンサドーレ札幌はマンツーマンで川崎のパスワークを壊して勝利している。マークを捕まえ切った段階でフィールドのどこでも最大限のプレッシャーをかけられる。高い位置で奪ってのカウンターで2ゴールをゲットした(2-0)。1つマークを外されると玉突き的にずれていくリスクはあるが、勇気のある戦い方だった。

 大分トリニータは川崎にボールを渡さない作戦で勝利した(1-0)。川崎の強みはボールを支配して、複数のコンビネーションで崩せること。さらにそこでボールを失っても即座に近くの選手たちがボールの出口を封鎖して敵陣で奪い返し、波状攻撃をしてくるところである。ただ、川崎にボールを渡さなければそのリズムは作れない。大分は自陣で執拗にパスを回し、川崎が前のめりになったところでロングボールをサイドへ蹴り、全体を押し上げてサイドでプレスしてのボール奪取を狙った。川崎対策というより大分の戦法でもあるのだが、極力ボールを渡さないのは川崎対策のポイントかもしれない。川崎と引き分けたときのサガン鳥栖、鹿島アントラーズもボールを支配して攻撃していた。

 ポゼッションとハイプレスの循環で圧倒的な強さを示していた川崎だが、そのリズムに持ち込まれなければ勝機があることを川崎に勝利した3つの試合が示している。(西部謙司=スポーツライター)

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