【コラム】西部謙司

日本らしいサッカー シティー撃破のリバプールに思う

[ 2018年1月17日 20:15 ]

首位を独走するマンチェスター・シティーを撃破したリバプール
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 プレミアリーグ第23節、リバプールがマンチェスター・シティーを4−3で破った。シティーは今季初黒星だった。このまま無敗優勝するのではないかと思われたほど、今季のシティーは充実している。しかし、そんなシティーにも勝つ方法があることをリバプールは教えてくれた。

 リバプールのプレースタイルはシティーとは全く違っていた。センターバックやGKはショートパスをつなぐ代わりにロングボールを蹴り、シティーDFのヘディングでのクリアを拾って攻撃につなげた。ディフェンスラインの裏が空いていたら、まずそこを狙う。緻密なシティーのパスワークに比べるとかなり雑な攻め方なのだが、サラ―、マネ、フィルミーノの3トップのスピードとテクニックを生かすには合理的な戦法だったと思う。

 リバプールの戦法はハリルホジッチ監督率いる日本代表と似ている。日本にサラ―やマネほど速いFWはいないが、浅野や乾はタイプとしては近い。フィルミーノと大迫も似ている。MFにフィジカルの強いハードワーカーを起用するところも似ているかもしれない。

 べつにリバプールに似ているから日本もワールドカップで番狂わせを起こせると言いたいわけではなく、サッカーのやり方は1つではないということ。

 ブラジルワールドカップは「自分たちのサッカー」で臨んだが良い結果が出なかった。それで簡単に諦めてしまったのは残念な気もするが、そもそも「自分たちのサッカー」が出来れば自動的に勝てるわけではない。向き不向きはあるにしても、試行錯誤して結果が出たものが日本のサッカーとして定着していくのではないか。

 イタリアは最初からカテナチオだったわけではない。ドイツも何回か変化しているし、アルゼンチンは大会ごとに微妙に違う。本当のところは世界一になってみるまではコレという結論には至らないのかもしれない。南アフリカワールドカップやロンドン五輪は守備的にプレーして良い結果を出している。むしろ攻撃のタレントが揃って攻めるぞとやったときに結果は出ていない。ロシアワールドカップの日本は守備型だと思うが、だからといって勝てないとは限らないし、日本らしくないと決めつけることもできない。

 あとは好みの問題だろう。どのみち4年に1回優勝できるのは1チームだけ、その他はすべてどこかで負ける。どうせ負けるなら自分たちの本当にやりたいプレー、ファンが心から応援できるサッカーをやって、行けるとこまで行けばいいというのもありだと思う。かつてのアイルランドはそんな感じだった。

 合理性と嗜好性。まだどちらも極めていないと思うので、「日本らしいサッカー」が出来るのはもう少し先になるのではないか。(西部謙司=スポーツライター)

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