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【コラム】西部謙司

コロンビア戦に秘策はあるか?

[ 2018年6月15日 06:00 ]

パラグアイ戦で指示を出す西野朗監督
Photo By スポニチ

 「まったく出していないものも当然ある」

 W杯前最後の強化試合だったパラグアイ戦の後、西野朗監督はそう言っている。

 新監督になってからのガーナ、スイス、パラグアイとの3試合では、いくつかのフォーメーションを試した。3−4−2−1と4−2−3−1、そしてボックスの4−4−2。あえてまだ隠しているものがフォーメーションだとすると、残っているのは中盤を菱形に組んだ4−4−2と4−3−3だろうか。

 パラグアイ戦で好調だった柴崎岳と大島僚太をインサイドハーフに起用し、アンカーを長谷部誠か山口螢という組み方はありそうだ。これだとトップ下のポジションがなくなってしまうが、コロンビア戦は相手に持たせてカウンターを狙ったほうがいいだろうから、トップ下は点が必要になったときに使えばいい。やっていそうでやっていない4−3−3は、ひょっとしたらまだ出していないものかもしれない。中盤ダイヤモンドのほうは、乾の使いどころがないのでこちらではないと思う。

 フォーメーションではなく、セットプレーの話だとすれば表に出していないのは当然である。目下の攻め手が乾貴士と香川真司のコンビネーションぐらいしかない現状で、セットプレーは是非とも用意しておきたい。柴崎が精度の良いボールを蹴っていたので期待できるかもしれない。槙野智章、吉田麻也はこれまでにもセットプレーから点をとった実績もあり、セットプレーに関しては日本も空中戦で不利ではない。

 コロンビア戦でこれまでの戦い方をガラリと変えるということはないだろう。ディフェンスラインを自陣ゴールから30〜35メートルに設定し、ミドルゾーンのプレスで奪ってハーフカウンターを狙う。今、日本にできる戦い方はこれしかないからだ。ミドルプレスからハイプレスへの切り替えはパラグアイ戦である程度できていた。あとは押し込まれたときの守備耐性を上げなければならないが、これはもう残り時間では無理。ミドルゾーンのプレスを中心に粘り強く戦って接戦に持ち込む、運がよければ勝てるかもしれない。今回の日本に期待できるのはそこまでだと思っている。(西部謙司=スポーツライター)

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