【コラム】西部謙司

2016バロンドール

[ 2016年12月28日 21:00 ]

 2016年のバロンドールはクリスティアーノ・ロナウドが受賞した。2010〜15年までFIFAバロンドールとなっていた同賞は、単独のバロンドールに戻った。しかし結果は同じだったわけだ。

 ロナウドが初受賞したのは2008年、FIFAバロンドールの時期を含めると今回で4回目となる。09年に初受賞したリオネル・メッシは12年まで4年連続受賞、さらに15年も獲っているので5回も受賞している。つまり、ここ9年間のバロンドールはロナウドとメッシのどちらが受賞しているわけだ。

 FIFAとの提携期間を外してのバロンドール単独ではヨハン・クライフ、ミッシェル・プラティニ、マルコ・ファンバステンの3回受賞が最多になるが、それが塗り替えられるのも時間の問題だろう。現代はメッシとロナウドの時代といえる。

 仮にロナウドがいなかったら、メッシの9年連続受賞というとてつもない結果になっていた。ロナウドが受賞した年の2位は常にメッシだったからだ。逆にメッシがいなかったとしたら、ロナウドは2010年を除く8回の受賞となる。メッシが受賞した2010年の2位はアンドレス・イニエスタだった。

 バロンドールは、その投票結果についてたびたび物議を醸してきた。1960年はフェレンツ・プスカシュが有力視されていたが、受賞したのはルイス・スアレス。ハンガリー動乱で祖国を離れてスペイン(レアル・マドリード)で活躍したプスカシュに対して、共産圏の記者が投票しなかったからといわれている。64年は、逆に大本命だったルイス・スアレスが2位、デニス・ローの受賞だった。スアレスはインテルで63〜64シーズンのセリエA優勝、チャンピオンズカップも優勝、さらにインターコンチネンタルカップを獲り、ネーションズカップ(現在のユーロ)でもスペインを優勝に導く大活躍だったのもかかわらず受賞を逃している。こうした例が他にもいくつかあった。

 フランスフットボール誌は単独授賞に戻った今年、60回記念として1995年以前の受賞者を、ヨーロッパ限定を外して選考。その結果、58〜61年の受賞者はペレ、62年はガリンシャ、63〜65年もペレとなった。すでに表彰されたヨーロッパの選手たちの栄誉はそのままだが、ペレは7回の最多受賞者ということになる。他に新たな受賞者となったのはマリオ・ケンペス(78年)、ディエゴ・マラドーナ(86、90年)、ロマーリオ(94年)。

 ワールドカップなど大会に優勝したチームの代表者としての受賞なのか、それとも全く個人の活躍に応じての賞なのか、バロンドールには基準がわかりにくいところがある。ただ、受賞回数からすると、ペレ、メッシ、ロナウドは別格といえそうだ。(西部謙司=スポーツライター)

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