【コラム】西部謙司

グループリーグを終えて コパ・アメリカ強豪分析 ウルグアイ

[ 2019年6月27日 20:00 ]

ウルグアイ代表の強力2トップ、カバーニ(左)とスアレス
Photo By AP

 チリとの直接対決を1-0で制し、ウルグアイがグループCの首位としてベスト8へ進出した。

 面積約176㎡、人口約340万人。ウルグアイは日本の岩手県より少し広い場所に横浜市ぐらいの人々が住んでいる国だ。1924、28年の五輪で連覇し、30年に開始されたFIFAワールドカップの第1回開催国にして優勝国。2回世界一になっている。コパアメリカの優勝回数ではアルゼンチン、ブラジルを上回る最多である。

 近年は「古豪」と紹介されるようになっていた。1970年ワールドカップの4位を最後にベスト8にも届かなかった。しかし、2010年南アフリカ大会では久々の4位、オスカル・タバレス監督が4年間率いたチームだった。現在、13年間におよぶ長期政権となっている。

 72歳のタバレス監督にとって、選手たちは子供どころか孫の年齢だ。メンバーは長年固定的で今大会の主力も昨年のロシアワールドカップと変わっていない。戦い方もまったく同じ。とはいえ、ロシアワールドカップの時点でそれ以前からの変化はあった。

 MFにベンタンクール、ベシーノが台頭している。長身でテクニックに優れた、よく似た2人は、それまでのウルグアイにはあまりいないタイプだった。ベンタンクールとベシーノの登場で、堅守速攻一本だった戦術にボールを保持して攻撃するオプションが加わっている。

 ただ、基調は伝統の堅守だ。ゴディンとヒメネスのセンターバックコンビ、そしてスアレスとカバーニの2トップ、最後尾と最前線のペアがチームの牽引車であることに変わりない。中盤に少し技巧が加わったとはいえ、基本はしっかり守って2トップの決定力で仕留めるやり方である。

 攻撃はそれほど多彩ではない。4-4-2でプレーしているが、ロシアワールドカップでは大会途中から4-3-1-2に変化した。このときトップ下に入ったのがベンタンクールで、攻撃よりも相手のビルドアップの起点を抑えるほうが狙いだった。サイドに攻撃的MFを配置してもさほどサイド攻撃に威力が増すわけでもなく、どのフォーメーションでも2トップへ直接的にパスを入れて何とかしてもらう攻め方なのだ。しかし、スアレスとカバーニの2人が傑出しているので、シンプルな攻撃でも1点ぐらいはとれてしまう。

 もう1つの武器はセットプレー。アトレティコ・マドリーのチームメートでもあるゴディン、ヒメネスはCKやFKのときに相手ゴール前へ進出し、得意の空中戦で点をとる。リードしたら伝統の堅守で逃げ切る。

 人口、面積で飛び抜けた巨大国であるブラジルにいかに対抗するか。コパアメリカはブラジル対周辺国という構図がある。その筆頭格であるウルグアイは、守備を磨いて一撃必殺のカウンターでブラジルに対抗してきた。攻撃力もついてきたとはいえ、いざとなればベタベタに引いて守り、少ないチャンスをストライカーの個人技とセットプレーで生かそうとするはずだ。ベシーノ、ラクサールを負傷で欠いたのは痛いが、自分たちのスタイルにある種開き直った自信を持ち、どっしりと重厚感のある攻守は相変わらずである。(西部謙司=スポーツライター)

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