【コラム】西部謙司

遠藤なしに課題を残したパレスチナ戦

[ 2015年1月15日 05:30 ]

<日本・パレスチナ>前半、先制ゴールを決め、酒井高と抱き合って喜ぶ遠藤(右)
Photo By 共同

アジア杯1次リーグ 日本4―0パレスチナ
(1月12日 ニューカッスル)
 アジアカップ初戦は4-0で好スタートをきった。といっても、後半途中からの内容の悪さはまだチームが出来上がっていない印象を強く残した。

 遠藤が退くと、“大きな絵”を描ける選手がいなかった。

 遠藤がいなくてもボールは運べるのだが、パレスチナの守備の壁を前にしてから切り崩しにかかるので、さすがに相手にも対応されてしまう。中盤で大きな流れを作れていればスムーズにフィニッシュへいけるのだが、遠藤を欠くと上手くいかなくなった。

 香川や清武は局面の打開力には優れているが、フィールド全体をみてプレーするタイプではないのだろう。本田は右サイドに移ってからチームプレーよりも個人プレーの選手になっているので、やはり攻撃のナビゲーションには向かない感じである。遠藤が万全ならいいが、バックアップとして柴崎は試しておきたかった。

 アギーレ監督の4-3-3では長谷部がアンカー、その前に香川と遠藤という構成になっている。長谷部はディフェンスラインに近い位置で後方のパス回しの中心になり、香川はゴール前でアシストとゴールを狙う。遠藤はその中間で攻撃の流れを作る。3人のバランスは理想的だ。

 ただし、3人ともテクニカルなプレーヤーである。フィジカルコンタクトに強いタイプ、運動量でかき 回すタイプはいない。対戦相手の立場で対策を考えるなら、3人をマンマーク気味にマークして運動量とフィジカルコンタクトで勝負する展開に持ち込む手がある。日本のFWは脅威だが、中盤からのコンビネーションを抑えてしまえば威力は半減できる。

 もしそうなったときに、中盤の血流を止めないように巧みなポジションをとれる遠藤がいればいいのだが、そうでないときにどうなるか。パレスチナ戦ではそこが少し心配になった。(西部謙司=スポーツライター)

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