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【コラム】西部謙司

意義のあるオランダ・ベルギー戦

[ 2013年11月21日 05:30 ]

<ベルギー・日本>後半8分、勝ち越しゴールを決め、柿谷(11)らイレブンに祝福される本田
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 オランダに2-2、ベルギーに3-2。オランダ、ベルギーはともにW杯の優勝候補あるいはダークホースにあげられる強豪国だ。両国を相手に負けなかったのは評価できる。内容的にも守備が改善され、山口と森重という新戦力の台頭もあった。

 オランダとベルギーは隣同士とはいえ、プレースタイルはかなり違っている。

 オランダは組織的すぎるほど組織的で、その点で日本はマー クがはっきりして戦いやすかったかもしれない。オランダのファンハール監督は後半の失速を「予測していた」と話していたが、オランダでは常識のセンターバック左のポジションに右利きを起用せざるをえなかったり(左利きが負傷していた)、中盤の3人が全員左利きになったり、彼らの定石を逸脱した形になってしまっていた。精巧な造りゆえに、歯車がずれると意外なほどのパワーダウンぶりを露呈した。

 ベルギーは個々の能力が高く、1対1で優位なのでカウンターアタックに威力がある。そのかわりパスワークはオランダとは対照的に大雑把なもので3人目の動きはほとんどみられず、個人技で打開できなければ突破口がない。守備組織はかなりずさん、日本のサイドバックがオーバーラップすれば 、たちまち数的優位を作れていた。

 この時期のオランダ、ベルギーはまだローギアの状態で、来年の本大会ではまた違った顔をみせると思う。しかし、日本の手抜きのないチームプレーが彼らの弱点をあぶり出したともいえる。日本だけでなく、オランダとベルギーにとっても意義のある試合だったのではないか。(西部謙司=スポーツライター)

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