菊水丸店主 珍宝堂

「人間国宝」同士の交流の証

[ 2020年12月2日 05:30 ]

人間国宝同士の交流がうかがえる盛花の名前札
Photo By 提供写真

 上方歌舞伎の演技「和事(わごと)」の第一人者で、2005年(平17)に231年ぶりの大名跡復活を果たされた坂田藤十郎さんがお亡くなりになられました。享年88歳。心よりご冥福をお祈り致します。

 1990年(平2)、三代目中村鴈治郎を襲名された折に、関係者へ配られたのが比叡山延暦寺第二百五十三世天台座主大僧正・山田恵諦猊下(げいか)が「寿」と揮毫(きごう)されたふくさ。その記念品が私のコレクションにございます。時を経て、ご子息が四代目鴈治郎を襲名された披露公演の楽屋で「お父さんの熨斗(のし)の横に書いて下さい」とサインをお願いしました。これは、まさしく珍宝なり。

 極めつきは、2002年(平14)に東京の歌舞伎座で開催された桂米朝師匠の独演会。楽屋に届いた三代目鴈治郎さんからの祝い花に添えられた名前の札こそ「人間国宝」同士の交流が伺えます。これは、米朝事務所の当時の社長・田中秀武さんに頂きました。こちらは国宝級の珍宝でありましょう。(河内家菊水丸)

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